Online ISSN : 2186-5086 Print ISSN : 1346-924X ISSN-L : 1346-924X
2020.10.10 16:00 ヴィクトリア朝人は家具の脚が恥ずかしいからカバーをかけたわけではない~イギリス文化と性にまつわる神話探訪 ヴィクトリア朝のイギリスといえば、性的に抑圧され、やたら厳しい道徳が幅をきかせていたというイメージが強いかと思います。以前この連載記事でも少し書きましたが、ヴィクトリア朝主流文学の性描写は前の時代よりも控えめになる傾向があり、これは社会的な風潮を反映したものでした。 長きにわたって離婚が異常に困難で、男性間の性交渉は犯罪になり、女性にまともな権利がないといった法的な側面から、日常生活の習慣まで、現代に比べるとはるかに性的な逸脱と見なされることがらには冷たい社会だったと言えます。 一方でこうしたヴィクトリア朝の性道徳については面白おかしく誇張される傾向もあり、注意が必要です。やたらと厳格な性道徳を語る際によく引き合いに出されるのが、「ヴィクトリア朝のイギ
イギリス領インド植民地史研究においては、18世紀後半から19世紀前半にかけて、現地の商業文化への参入を前提とする多元的な海洋帝国から、植民地政府を頂点とする一元的な領土帝国への転換が起こり、それに伴って植民地統治がより専制的になったと指摘されている。とりわけ植民地法制史の研究者は、この領土拡張に伴う専制化の一因として、征服戦争という緊急事態における例外的措置が、戦後に規範化されて平時の体制に持ち越されるという現象が見られたことを指摘することで、この問題に新たな研究視角を与えている。しかし既存の研究は、抽象的な国家論に言及したり人種偏見が背景にあったと指摘したりするのみで、例外状態が平常化・制度化された具体的なメカニズムについて十分な地域史的検討を行っていない。本稿はこれについて、インド人によるイギリス司法制度の積極的な利用を背景とする1820年代ボンベイにおける政府と裁判所の管轄権対立と、
何が食文化の衰退を招いたのか? その背景には社会と経済の変化があった ◆◆◆ イギリスの料理はまずいとしばしば言われる。まずい理由として、美食を欲しない国民性である、ピューリタンの影響で食の楽しみが罪悪視された、あるいは、気候が冷涼で食が単調になるなどの俗説はあるが、いずれも、学問的には支持しがたい怪しげな説である。 19世紀から「まずく」なる うまい/まずいは直接的には個人の好みであって、食の属性ではない。うまい/まずいといった主観的な印象評価を離れて、食を客観的に分析するために、筆者は、食材の多様性、食材の在地性・季節性、調理方法の多様性という3つの指標を設定した(小野塚[2004]、[2010])。この3つの指標だけで食を論じ尽くせるわけではない。食文化史の本来的関心からは、実際に食べられた料理や食べる場・状況が重要なのだが、料理や宴席は史料として残りにくいため考察の対象とするのが難
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2010/11/20(土)に名古屋大学で開催された学会の全国大会に参加しました。細かく書くと長くなりそうなので、ざっくりと。概要理解が間違っているかもしれない点はご容赦を。自分の領域以外は基本的に知らないことが多いです。 1.研究発表 会員の方による研究発表が2つの教室に分かれて行われて、今回は第一室の発表を聞きました。 1.19世紀中葉イギリスのホメオパシーにみる医療の権威 ホメオパシーを巡る議論はネットでよく見かけますが、そのホメオパシーが19世紀イギリスでどのように受容されたのかの研究概要です。流れとしては以下のような理解です。 18世紀に既存の医療概念(ギリシャ医学・四体液説)が揺らぎ、その中で生まれてきている。 この時期に登場したいくつかある新しい医療概念で、その後、生き残って現代に継続。 受け入れた地域では他に医療機関がなく、概念の是非より必要性が重視される。 貴族や地主の慈善
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