『カティリナ戦記』はキケロの演説によっても知られる国家転覆を狙った謀反の顛末を、『ユグルタ戦記』はヌミディア王位継承問題にローマが介入したため起こった戦争を語るもの。打ち続く内戦の時代を生き、当初は政治家として活動するも、引退後は行動でなく言論によって国家に貢献すべく、歴史執筆を志した著者を、帝政期の史家タキトゥスは「ローマの歴史の最も輝かしい作家」と呼んだ。 小川正廣(おがわ まさひろ) 名古屋大学名誉教授 京都大学博士(文学) 1951年 京都市生まれ 1979年 京都大学大学院文学研究科博士課程中退 京都産業大学助教授、名古屋大学教授を経て2017年退職 主な著訳書 『ウェルギリウス研究──ローマ詩人の創造』(京都大学学術出版会) 『ウェルギリウス『アエネーイス』──神話が語るヨーロッパ世界の原点』(岩波書店) ウェルギリウス『牧歌/農耕詩』(京都大学学術出版会) 『キケロー選集2、