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ブックマーク / blog.livedoor.jp/yamasitayu (6)

  • 満薗勇『消費者と日本経済の歴史』(中公新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    9月20 満薗勇『消費者と日経済の歴史』(中公新書) 8点 カテゴリ:社会8点 副題は「高度成長から社会運動、推し活ブームまで」。 書は「消費者」という概念の捉え方の変化、特に消費者がいかに社会を変えられるのかという認識の変化を追うことで、消費とその消費を行う人々を取り巻く環境の変化を浮き上がらせようとしています。例えば、「「消費者主権」とは何なのか?」、「企業はある時期から「消費者」から「お客様」へのと呼称を変えていくのですが、それはなぜなのか?」といった具合です。 また、書は消費を取り巻く社会運動を追い、その難しさを指摘したでもあって、社会運動に興味がある人にもお薦めできます。さらに、一時期の「消費者=主婦」という言説の強さからは戦後社会のジェンダーというものも見てきますし、多面的な楽しみ方ができるに仕上がっています。 目次は以下の通り。序章 利益、権利、責任、そしてジェンダ

  • 上村剛『アメリカ革命』(中公新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    9月14 上村剛『アメリカ革命』(中公新書) 9点 カテゴリ:政治・経済9点 アメリカ合衆国の独立は世界史の教科書などでも「独立革命」という名称で書かれています。一方、例えば、インドの独立を「インド独立革命」と記載するケースはほぼ見ません。なぜ、アメリカの独立は「革命」なのでしょうか? 書はこれを「成文憲法の制定」こそアメリカ独立革命の最大の功績とした上で、その憲法がいかにしてつくられ、そして以下に運用されて政治が定まっていったかを比較的長いスパン(ジャクソン大統領の登場あたりまで)で見ていきます。 煩雑にならないようにわかりやすく書かれていながら、それでいて今までの一般的な見方を覆す刺激的な議論が行われているのが書の特徴で、「新書らしい」新書です。 入門書としても、それなりに知識がある人が読むとしても面白い内容で、フランス革命に比べて教科書の記述としては「わかりやすい」アメリカ独立

  • 児玉真美『安楽死が合法の国で起こっていること』(ちくま新書) : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    12月21 児玉真美『安楽死が合法の国で起こっていること』(ちくま新書) カテゴリ:社会8点 相模原障害者施設殺傷事件、京都ALS嘱託殺人事件、そして映画『PLAN 75』など、日でもたびたび安楽死が話題になることがあります。 安楽死については当然ながら賛成派と反対派がいますが、賛成派の1つの論拠としてあるのは「海外ではすでに行われている」ということでしょう。 著者は以前からこの安楽死問題について情報を発信してきた人物ですが、著者が情報発信を始めた2007年頃において、安楽死が合法化されていたのは、米オレゴン州、ベルギー、オランダの3か所、それとスイスが自殺幇助を認めていました。 それが、ルクセンブルク、コロンビア、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア(一部を除く)、スペイン、ポルトガルに広がり、米国でもさまざまな州に広がっています。 では、そういった国で実際に何が起こっているのか?

  • 井上文則『軍と兵士のローマ帝国』(岩波新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    5月16 井上文則『軍と兵士のローマ帝国』(岩波新書) 7点 カテゴリ:歴史・宗教7点 ローマ帝国を支えたローマ軍を見ていくことで、ローマ帝国の特徴や変質を明らかにしようとした。 序章やあとがきで述べられているように、書は狭い意味での「軍事史」のではなく、著名な戦いの解説などをしたではありません。軍を通して見たローマ史という形になります。 また、ローマ史の後半について比較的手厚く叙述しているのも特徴で、軍の変質を通じて、ローマの帝国としての変質とその衰退の理由がわかるようになっています。 岩波新書には南川高志『新・ローマ帝国衰亡史』という面白いもありますが、書も「軍から見たローマ帝国衰亡史」として読めるですね。 目次は以下の通り。序 章 凱旋門とサトクリフとイエス――ローマ帝国と軍隊第一章 市民軍から職業軍人の常備軍へ――ローマ帝国軍の形成第二章 「ローマの平和」を支える――

  • 橋場弦『古代ギリシアの民主政』(岩波新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    10月27 橋場弦『古代ギリシアの民主政』(岩波新書) 9点 カテゴリ:歴史・宗教9点 古代ギリシア民主政研究の日における第一人者ともいうべき著者による。一般的な古代ギリシア民主政へのイメージを覆す刺激的なになっています。 古代ギリシアの民主政はアテナイを中心に行われ、そのアテナイの民主政はサラミスの海戦での勝利を経てペリクレスのもとで絶頂を迎えるが、次第に衆愚政に陥ってペロポネソス戦争でスパルタに敗北してしまう。古代ギリシアの民生政というとこんなイメージを持っている人も多いと思いますが、著者によれば、民主政はその後のアテナイで復活して成熟を迎え、アテナイ以外のポリスにも広がっていったといいます。 さらに書では考古学的な発見などを用い、当時にアテナイの社会の状況の復元を試み、プラトンやトゥキュディデスのが伝えるものとは違った、そして現代の民主主義とも違う古代ギリシアの民主政の姿を

  • ブレイディみかこ『労働者階級の反乱』(光文社新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    11月6 ブレイディみかこ『労働者階級の反乱』(光文社新書) 7点 カテゴリ:社会7点 副題は「地べたから見たイギリスEU離脱」。イギリス人と結婚し、イギリスのブライトンに住みながら、保育士兼ライターとして活躍する著者がイギリスのEU離脱とその背景をリポート、分析した。 著者に関してはネットの記事などでご存じの方も多いでしょうが、このでもイギリスの労働者階級の只中で暮らしながら、彼らがどのような考えをもってEU離脱に賛成したのかということを的確に伝えています。 後半の第III部に関しては、著者がなどを読んで勉強したことがまとめてある感じでやや面白さは落ちるのですが、前半は金成隆一『ルポ トランプ王国』(岩波新書)に通じる面白さがありますね。 目次は以下の通り。 第I部 地べたから見たブレグジットの「その後」 (1)ブレグジットとトランプ現象は当に似ていたのか (2)いま人々は、国民

    Basilio_II
    Basilio_II 2017/11/08
    移民全体というよりもEU域内からの移民を嫌う労働者。
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