ジェンダーと脳――性別を超える脳の多様性 作者:ダフナ・ジョエル,ルバ・ヴィハンスキ紀伊國屋書店Amazonこの『ジェンダーと脳』は、よく言われる「男女で脳に性差はあるのか?」というテーマに、神経科学者であるダフナ・ジョエルが向き合った一冊である。 先に結論だけ書いておくと、性差は間違いなくある。たとえば、男性と女性で脳全体の大きさに差があるし、視床下部の中継核の大きさだとか、脳領域の各所や、神経伝達物質にも性差は存在する。ただ、注意しておきたいのは、その差は何十、何百といった脳の平均の差であるということだ。たとえば、男性の方が平均としては大きいとされる脳領域であったとしても、女性で男性の平均を超えているケースもあれば、男性で女性の平均に近いケースもあり、多くの女性と男性の脳は重なり合っている。 つまり、大半の女性と男性では大きさが変わらないのだ。あるいは、その特定の領域は一部の女性で大き
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