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ブックマーク / realsound.jp (32)

  • 追悼・福田和也「保守革命主義者のとんかつとアジビラ、その享楽」 ーー絓秀実・寄稿

    福田和也『遥かなる日ルネサンス』(文藝春秋) とんかつを福田和也と一緒にべたことがある。今となっては定かには思い出せないが、福田がまだSFC(慶応大学環境情況学部)の助教授に就任する以前、慶応大学文学部(三田)の非常勤講師をしていた頃だから、1990年代初めのことである。 私は1991年秋には福田と多少の面識を得ていた。1990年に滞在していた米国の大学図書館で、日の言論状況を知るべく偶々読んだ雑誌に掲載されていた福田の『遥かなる日ルネッサンス』の一部に接し、若いらしいが聡明な「保守」の登場が、記憶に刻まれていた。 1991年の帰国後、これまた偶々、ある酒場で遭遇して互いに自己紹介したのが最初である。ただ、それ以前から「福田」という名前は知らずとも、コラボラトゥールをやっている面白い研究者が、国書刊行会の周辺にいるらしいことは、蓮實重彦から漏れ聞いていた。 『奇妙な廃墟』(1990

    追悼・福田和也「保守革命主義者のとんかつとアジビラ、その享楽」 ーー絓秀実・寄稿
    BigHopeClasic
    BigHopeClasic 2024/09/30
    “福田の大岡批判(≒蓮實批判)が依拠するところの、古屋の「「『赤と黒』の構造分析といった身の毛がよだつような授業」がどのようなものなのか(中略)良く分からない”なるほど、それは確かにアジビラ
  • 人気の本、なぜ地方の書店では仕入れることができない? 「【推しの子】って、今売れているんですか(笑)」

    リアルサウンドブックでたびたび登場している、秋田県羽後町の「ミケーネ」は、人口約1万3000人の農村の田園風景の中に立つ個人経営の書店だ。実は記者が小学校のころから通っている書店で、数多くの漫画との出会いの場を提供してくれた店でもある。今回は阿部久夫店長と、「ミケーネ」で漫画を買うというラブライバーの武田遼哉さんに直撃インタビュー。地方の書店の現状と課題、そして未来について考えてみた。 「ミケーネ」の外観。地域の文化発信基地である書店を守ることはできるのだろうか。 地方書店はAmazonのVIP顧客!? ――書店に関しては、都心と地方の格差が著しいと言わざるを得ません。おそらく、一般のお客さんは数十万部が印刷されるベストセラーは、どこの書店に行っても並んでいると思っているかもしれません。しかし、実態は人気のあるタイトルほど大都市の大型書店に集中し、地方の個人経営の書店に並んでいないという実

    人気の本、なぜ地方の書店では仕入れることができない? 「【推しの子】って、今売れているんですか(笑)」
    BigHopeClasic
    BigHopeClasic 2023/06/19
    「amazonがあればいい」ってのは今の日本の優秀な配達業者の質が前提なのであって、いずれそれも田舎では維持できなくなることをどうするか / id:hackpopo それで田舎のやる気のある優秀な書店が足を引っ張られるのは……
  • 日本全国のシネコン、『すずめの戸締まり』にほぼ戸締まりされる

    先週末の動員ランキングは、『ONE PIECE FILM RED』が土日2日間で動員9万人、興収1億2300万円をあげて13週目の1位となった。11月6日までに累計動員は1301万人、累計興収180億円を突破しているが、ギョッとするのは週末の数字だ。興収1億2300万円で1位。これは、首位の週末興収としてはコロナ禍前までの水準だと年間でも最低レベルの数字である。 そのことを踏まえずに、今週末の日全国のシネコンのスクリーンが新海誠監督の新作『すずめの戸締まり』にほぼ占拠されることを批判しても仕方がない。8月以降、新作では最終興収30億円の大台にギリギリ届きそうな『沈黙のパレード』をほとんど唯一の例外として、『ONE PIECE FILM RED』におんぶに抱っこ状態だった国内の映画興行。『すずめの戸締まり』は待ちに待った「大ヒットが約束された作品」なのだ。そこでもし観客を取りこぼすようなこ

    日本全国のシネコン、『すずめの戸締まり』にほぼ戸締まりされる
    BigHopeClasic
    BigHopeClasic 2022/11/11
    市況かぶ全力二階建かと思った記事タイトル
  • アニメ『プラネテス』は一生の財産にもなりうる作品だ Eテレでの再放送開始に寄せて

    テレビアニメ『プラネテス』がNHK Eテレにて1月9日より、毎週日曜19時から再放送される。今でもアニメファンから絶賛の声が寄せられ、名作と呼び声高い作品が全国に再放送されることは、放送時から毎週楽しみにしていたファンである筆者としてもとても喜ばしい。今回は『プラネテス』が高く評価される理由について簡単に紹介していきたい。 『プラネテス』は、幸村誠による1999年から2004年にかけて連載された全4巻の同名の漫画作品が原作。2003年にテレビアニメとしてが放送された。監督は『スクライド』や、今作の後に『コードギアス 反逆のルルーシュ』や、また2022年には『ONE PIECE FILM RED』の監督を務めることも発表されている谷口悟朗が務めている。制作スタジオはガンダムなどのロボットアクションの印象も強いサンライズが務めており、ロボットバトルのない作品の制作を担当したことも話題を集めた

    アニメ『プラネテス』は一生の財産にもなりうる作品だ Eテレでの再放送開始に寄せて
    BigHopeClasic
    BigHopeClasic 2022/01/09
    タナベとテクノーラの描写が「薄っぺらい」のはその通りだけど、だからこそ「とっつきやすい」ということを積極的にポジティブに評価してるよ俺は
  • シティポップ(再)入門:寺尾聰『Reflections』 “奇跡の年”に生まれた名実ともにシティポップの頂点

    国内で生まれた“シティポップ”と呼ばれる音楽が世界的に注目を集めるようになって久しい。それぞれの作品が評価されたり、認知されるまでの過程は千差万別だ。特に楽曲単位で言えば、カバーバージョンが大量に生まれミーム化するといったインターネットカルチャー特有の広がり方で再評価されるケースが次々登場している。オリジナル作品にたどり着かずとも曲を楽しむことが可能となったことで、それらがどのようなバックボーンを持ち、どのようにして世に生み出されたのかといった情報があまり知られていない場合も少なくない。 そこで、リアルサウンドではライター栗斉氏による連載『シティポップ(再)入門』をスタートした。当時の状況を紐解きつつ、それぞれの作品がなぜ名曲・名盤となったのかを今一度掘り下げていく企画だ。毎回1曲及びその曲が収められているアルバムを取り上げ、歴史的な事実のみならず聴きどころについても丁寧にレビュー。

    シティポップ(再)入門:寺尾聰『Reflections』 “奇跡の年”に生まれた名実ともにシティポップの頂点
  • 予想大外れ、興収100億に届きそうにない『シン・エヴァ』 反省しつつその理由を分析

    先週末の動員ランキングは、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が、土日2日間で動員32万9999人、興収5億2801万7500円をあげて、初登場2位の『モンスターハンター』にダブルスコア以上の差をつけて3週連続1位に。前週の週末との興収比では約78%と、新たな来場者プレゼントの効果もあって下げ止まりの傾向も見られ、3月28日までの21日間の累計では動員396万1480人、興収60億7821万1750円を記録している。 さて、『シン・エヴァ』については、第一報として公開日翌日に書いた3週前に「『シン・エヴァ』、緊急事態宣言下ながら興収100億円超え確実のロケットスタート」と冠した予想記事をアップしてしまった以上、そろそろ落とし前をつけなくてはいけない。「興収100億円超え」の可能性はまだわずかに残っているものの、「確実」はやはり言い過ぎだった。さらに、その文中ではこっそり(と言いつつ、しっかり各

    予想大外れ、興収100億に届きそうにない『シン・エヴァ』 反省しつつその理由を分析
    BigHopeClasic
    BigHopeClasic 2021/03/31
    言うほど情報の流れが一方通行とは思わないけど、双方向の流れってどういうのを意識してるのかな宇野さん
  • 『エヴァンゲリオン』を実写パートから考える 旧劇場版と新劇場版の“虚構”と“現実”

    稿は『シン・エヴァンゲリオン劇場版』と『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを君に』の内容、いわゆるネタバレに触れております。ご了承ください。 『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が公開された今、改めて2006年に庵野秀明総監督が書いた『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』所信表明を読むと、その志がぶれていないことに驚く。特に目を引くのが「「エヴァンゲリオン」という映像作品は、様々な願いで作られています。(中略)現実世界で生きていく心の強さを持ち続けたい、という願い。」の部分だ。 その前年に刊行された漫画『監督不行届』の解説で庵野は、著者であり自身のでもある安野モヨコの作風を「マンガを読んで現実に還る時に読者の中にエネルギーが残るようなマンガ(中略)『エヴァ』で自分が最後までできなかったこと」と評している。 作品という虚構から現実世界に還り、そこで生きていく強さ。 テレビシリーズおよびそ

    『エヴァンゲリオン』を実写パートから考える 旧劇場版と新劇場版の“虚構”と“現実”
    BigHopeClasic
    BigHopeClasic 2021/03/30
    ラストシーンは実写じゃなくCGなんだけど(アニメキャラと、今は走ってないクモハ42が走ってる)、そこを言及した批評はまだ読めていない。
  • 【ネタバレ】『エヴァ』は本当に終わったのか 『シン・エヴァンゲリオン劇場版』徹底考察

    稿には、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の結末を含む内容への言及があります。 2007年からシリーズの公開が始まった、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』。その4作目にして、シリーズ最終作となったのが、タイトルを一新した『シン・エヴァンゲリオン劇場版』だ。TVアニメ版『新世紀エヴァンゲリオン』、旧劇場版を経て、再び出発したシリーズが14年の長期に渡って公開され、前作から8年と数カ月を経て最終作が公開されたというのは、異例づくめといえる出来事だ。このような新シリーズのスケジュールは、庵野秀明監督はじめ作り手側にとっても予想していなかったはずだが、それでも成立してしまうというのは、『エヴァ』全体の熱狂的な人気があってこそだ。製作が長引き延期を重ねながらも、シリーズの興行成績は落ちるどころか、右肩上がりになっていった。 さらに、公開前に発表された「さらば、全てのエヴァンゲリオン。」という、最終作と

    【ネタバレ】『エヴァ』は本当に終わったのか 『シン・エヴァンゲリオン劇場版』徹底考察
    BigHopeClasic
    BigHopeClasic 2021/03/17
    きっちりと批判も入れた上で、テキストに真正面から向き合っている。「解説」としては最も高レベルなもののひとつ。
  • 清原果耶が明かす、『なつぞら』に千遥が登場するまでの裏側 「自分ができる最善を尽くそうと」

    北海道の地に一人の少女が訪れた。柴田家の一同が迎え入れたのは、なつ(広瀬すず)と咲太郎(岡田将生)の生き別れた妹・千遥だ。 4月から放送がスタートした『なつぞら』(NHK総合)も7月1日の放送で折り返しに突入。日の79話で、千遥を演じる清原果耶が初登場した。『あさが来た』以来の朝ドラ出演となる清原に『なつぞら』にかける意気込み、そして登場までキャストが明かされなかった理由について話を聞いた。 「千遥にも色々なバックボーンがある」 ーー『あさが来た』以来の朝ドラ出演となります。意気込みはいかがでしょう。 清原果耶(以下、清原):『あさが来た』は私の女優デビュー作なので自分の中で当に大きな存在です。この作品でお芝居の難しさと楽しさを知りましたし、1つの作品を色んな人の協力で作り上げていくことの大変さとかやりがいも感じました。『なつぞら』では千遥というキャラクターを丁寧に作り上げて、良いアク

    清原果耶が明かす、『なつぞら』に千遥が登場するまでの裏側 「自分ができる最善を尽くそうと」
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    BigHopeClasic 2019/07/03
    Twitterじゃ評判悪い声も多いなつぞらだけど、よく考えて作ってると思うんだけどな。それはそれとして、清原果耶、役者としてすごく鍛えられてきてるのがわかる。
  • 『なつぞら』草刈正雄が明かす、真田昌幸と柴田泰樹の共通点 「器の大きい男を演じるのは楽しい」

    NHK連続テレビ小説100作目『なつぞら』が現在放送中だ。第2週の放送を終え、舞台は昭和30年の初夏に。成長したなつを演じる広瀬すずを中心に、期待の若手キャストたちのアンサンブルは、忙しい毎日を送る視聴者の大きな癒やしとなっている。 そんな作の中でも文字通り“大黒柱”として物語を支えているのが、柴田泰樹を演じる草刈正雄だ。第1週では、戦災孤児となったなつに、人生を生き抜く術を伝えていくその姿に、多くの視聴者が涙を誘われた。『なつぞら』出演にあたっての意気込み、自身と泰樹の違いなど、草刈正雄にじっくりと語ってもらった。 抜群の連携を見せる『真田丸』組 ーー草刈さんは朝ドラへの出演が3回目です。第100作目ということで、これまでの現場との違いなどは感じますか。 草刈正雄(以下、草刈):キャスト、スタッフのみなさん、ひとりひとりの熱量が当にすごいです。僕が演じる泰樹の衣装も、夏と冬で個性的な

    『なつぞら』草刈正雄が明かす、真田昌幸と柴田泰樹の共通点 「器の大きい男を演じるのは楽しい」
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    BigHopeClasic 2019/04/18
    「調略」に反応した人が多かったみたいだけど、俺はそれよりも、「譲れないものへの意固地さ」に昌幸を見た。
  • クリストファー・ノーランの到達点『ダンケルク』を観る前に復習しておきたい、00年代以降の「スペクタクル大作」10選

    クリストファー・ノーランの到達点『ダンケルク』を観る前に復習しておきたい、00年代以降の「スペクタクル大作」10選 クリストファー・ノーラン監督の最新作、『ダンケルク』の公開が近づいてきた。第二次世界大戦におけるダンケルクでの攻防と撤退を描いた作は、海外ではノーラン・ファンが過去最高レベルの大賛辞を送っているだけでなく、これまでノーラン作品に対して、主に好き嫌いを理由に煮え切らない評価を下してきた一部の批評家たちをも問答無用にノックアウトした。 出世作『メメント』(2000年)以降、ノーラン作品で最もコンパクトな106分という上映時間で展開される、史実に沿ったエモーショナルなストーリー。銃声や爆撃機のこれまで他の映画で聞いたことがないリアルな音響&音圧。盟友ハンス・ジマーの手がけたネクスト・レベルと言うべき荘厳な劇伴。フィオン・ホワイトヘッド、ワン・ダイレクションのハリー・スタイルズとい

    クリストファー・ノーランの到達点『ダンケルク』を観る前に復習しておきたい、00年代以降の「スペクタクル大作」10選
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    BigHopeClasic 2017/09/05
    “IMAX社のCEOグレッグ・フォスターが「観客は明らかに3Dよりも2Dを好んで観ている。今後IMAXシアターでは3D映画よりも2D映画を優先して上映する」と明かして、大きな波紋を呼んだ。”これは本当にそう思う。
  • オリラジ中田案、チケトレ開設……チケット転売問題の行方は? 経済学者・田中秀臣氏が解説

    昨夏、一般社団法人日音楽制作者連盟、一般社団法人日音楽事業者協会、一般社団法人コンサートプロモーターズ協会、コンピュータ・チケッティング協議会の4団体が、賛同アーティスト、フェス、イベントとの連名で、高額転売防止を訴える共同声明を発表して以降、ファンやアーティストを巻き込んだ形で、活発な議論が行われるようになった“チケット転売”をめぐる一連の問題。ヤフオク!、チケットキャンプといった、従来からチケットの転売に活用されているシステムに加え、6月1日には、上記の4団体が立ち上げた、利用者間でイベントチケットを2次売買できる公式チケットトレードリセール『チケトレ』が、正式オープンする。そもそも、“チケット転売”の問題の質とは何なのか?   その解決策はどこにあるのか? 『AKB48の経済学』(朝日新聞出版)などの著書もある経済学者・田中秀臣氏に話を聞きながら、いま改めて考えてみることにしよ

    オリラジ中田案、チケトレ開設……チケット転売問題の行方は? 経済学者・田中秀臣氏が解説
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    BigHopeClasic 2017/05/25
    公式リセールでオークションやって定価との差分は当日会場で物販飲食で使えるクーポンというのは悪くないな。
  • 『ゴースト・イン・ザ・シェル』なぜ賛否両論に? 押井守版『攻殻機動隊』と比較考察

    劇場用アニメーション『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』は、アニメーターによる従来の職人的な手描き技術と新しいCG技術の融合によって生み出された、クールな映像表現、また士郎正宗原作、押井守監督による先進的なテーマや哲学性などによって、アメリカをはじめ世界に日製アニメの存在を知らしめた代表といえる作品である。『マトリックス』のウォシャウスキー姉妹監督など、決定的な影響を受けたことを表明するクリエイターも少なくない。その伝説的作品をハリウッド映画として実写映像化したのが、作『ゴースト・イン・ザ・シェル』である。ここでは、押井監督版のアニメーション映画を、分かりやすく『攻殻機動隊』、アメリカの実写映画を『ゴースト・イン・ザ・シェル』と表記し、主にテーマの面で両者を比較しながら、賛否渦巻く実写版の内容を検証していきたい。 『攻殻機動隊』は、人体よりも高性能な「義体」を、人間

    『ゴースト・イン・ザ・シェル』なぜ賛否両論に? 押井守版『攻殻機動隊』と比較考察
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    BigHopeClasic 2017/04/13
    押井・神山へのリスペクトを厚くしつつ、むしろ見ている時は『ロボコップ』や『バイオハザード』を想起させたあたりは、「米国映画」としてはとてもウェルメイドな作品だったよ、少なくとも損はしなかった。
  • 『君の名は。』の大ヒットはなぜ“事件”なのか? セカイ系と美少女ゲームの文脈から読み解く

    新海誠はアニメ界の「鬼っ子」的存在 新海誠監督の新作アニメーション映画『君の名は。』が、記録的な大ヒットを続けています。公開10日間ですでに興行収入が38億円を突破したといいますから、これはもはや2010年代のアニメ界におけるひとつの「事件」といってよいでしょう。今年の夏はさまざまな意味で「平成の終わり」を実感させられるニュースが相次ぎましたが、まさにアニメ界においても、名実ともにいよいよ「ポストジブリ」の新時代が到来したことを感じさせるできごとです。 しかも注目すべきは、今回のヒットが、内容的にもスタジオジブリやスタジオ地図(細田守)のように、老若男女、幅広い層から支持されているというよりは、10~20代の若者世代、とりわけ女性層に特化して受けているらしいという点です。この『君の名は。』をめぐる現在の盛りあがりには、ゼロ年代から新海作品を観続けてきたアラサーのいち観客として、いろいろと感

    『君の名は。』の大ヒットはなぜ“事件”なのか? セカイ系と美少女ゲームの文脈から読み解く
  • 初代ゴジラの“呪縛”から逃れた『シン・ゴジラ』 モルモット吉田が評する実写監督としての庵野秀明

    公開3週目を迎えても『シン・ゴジラ』の勢いは依然、衰えを見せない。IMAX、MX4D、通常上映と、毎回環境を変えて観ていたが、この原稿を理由にまた劇場に足を向けてしまった。高圧縮の情報量、現実の反映、オマージュ、トリヴィア、語られないまま終わった謎への解釈など、まるで20年前の『新世紀エヴァンゲリオン』テレビシリーズ放送終了後から翌年の劇場版公開にかけての熱狂が再現されているようだ−−と言っては言いすぎだろうか。いずれにせよ、繰り返し観ることで細部を語る魅力が増す作品であることは間違いあるまい。 マイナスをプラスにさせる庵野秀明のアレンジ ここでは、〈庵野秀明にとってのゴジラ〉から話を始めてみたい。というのも、特撮好きなエヴァの監督というイメージから誤解されがちだが、これまで庵野はウルトラマンほどの熱狂をゴジラには見せていなかったからだ。『シン・ゴジラ』の原点となる第1作の『ゴジラ』(54

    初代ゴジラの“呪縛”から逃れた『シン・ゴジラ』 モルモット吉田が評する実写監督としての庵野秀明
    BigHopeClasic
    BigHopeClasic 2016/08/17
    映画の中心部に最初から空いていた穴を、八方手を尽くして埋めたような空虚感を感じなくもない←これだ、うまいこと俺のモヤモヤを言語化してくれた。84への言及も含めて大満足の評。
  • 蛭子能収、なぜいま人生最大のブレイク期に? 映画版『ローカル路線バス~』から考える

    漫画家/タレント・蛭子能収が人気だ。テレビのバラエティ番組で見ない日はないと言っていいくらい人気だ。というか昨今、その著作物も、静かなブームとなっているという。一昨年の夏に出版した自身初の新書『ひとりぼっちを笑うな』(角川新書)がジワリジワリと増刷を繰り返し、現在16刷9万7000部。間もなく10万部を超えようとしているのだとか。さらに、昨年11月には、蛭子が孔子の『論語』を解説する謎の新書『蛭子の論語』(角川新書)も上梓。こちらも好評なのだとか。それにしても、いつの間に彼は、そんなに人気者になったのか。そのきっかけとなったのは、2007年から1年に2回から3回のペースで放送されている旅バラエティ番組『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』(テレビ東京)であるというのが、もっぱらの定説だ。 今年の1月2日、その第22弾(!)となる「水戸・偕楽園~長野・善光寺」編(マドンナ:南明奈)がオンエアされた

    蛭子能収、なぜいま人生最大のブレイク期に? 映画版『ローカル路線バス~』から考える
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    BigHopeClasic 2016/02/15
    競艇が趣味、というところも独自の人生観に寄与してるところがあるような。逆にああいう人だからこそ競艇にはまってるのかもしれないが。
  • 宮台真司の『バケモノの子』評:言葉ならざる親子の関係を描く、細田守監督の慧眼

    ポイントは「渋谷」と「渋天街」の対比 細田守監督は、概念的に徹底的して物事を考え、シナリオに落とし込むタイプなのかもしれません。あるいは、実在の父親にかけてほしかった言葉がたくさんあったのかもしれない。シナリオには「言葉が多すぎる」ことを中心に、注文をつけたい部分があります。でも、この水準の映画はなかなか作れないと思います。いい映画だと思います。 作のポイントは、現実を精確にトレースした「渋谷」と、バケモノ界の「渋天街」の対比にあります。「渋谷」はわれわれがよく知る看板にあふれ、文字に満ち満ちていますが、「渋天街」に入れば、文字がありません。そして主人公の九太(蓮)と熊徹の擬似的な親子関係はすべて、文字のない渋天街で行われます。 なぜ「文字に満ちた街」と「文字が一切ない街」を対比させたのか。僕がいろいろなところで書いているように、最近の若い人は「言葉にならない」ものを恐れる傾向が強い。統

    宮台真司の『バケモノの子』評:言葉ならざる親子の関係を描く、細田守監督の慧眼
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    BigHopeClasic 2015/08/10
    今回奥寺佐渡子は脚本に噛んでないのか。今更知った。
  • BABYMETALが“元洋楽少年”を熱狂させる理由【国内篇】 市川哲史が人気曲から紐解く

    昭和の昔から、女子アイドルは<やらされてる感>を常に背負っている。それは宿命なのだが、と同時に彼女たちの器量の見せ場でもある。 例えばAKB48グループは、ずっと<やらされてる感>を漂わせてきた。総選挙とかチーム再編とか、運営サイドからのお達しに振り回されながら生き抜く姿は競争社会と自己責任の縮図で、まさに<やらされてる感>ワールドそのものだったりする。 しかし峯岸みなみが坊主頭になった一昨年あたりから、生身の女たちの執念がとうとう決壊――ここにきて<やらされてる感>を乗り越えた者たちの修羅の場と化している。アイドルグループというより、エゴを隠しきれない女たち、だ。 ももクロの場合は、世間的には自由奔放な<逝くまで少女>のイメージだが、実は大きいおともだちの妄想を「元ネタがわからない」まま一身に引き受けている。とはいえ<やらされてる感>とは真逆の、豪快な<やってあげてる感>はなんとも痛快で

    BABYMETALが“元洋楽少年”を熱狂させる理由【国内篇】 市川哲史が人気曲から紐解く
  • 「千本桜」はなぜ国境を越えて愛されるのか? CTS feat.初音ミクの動画が英語圏で話題を集める背景

    「千桜」はなぜ国境を越えて愛されるのか? CTS feat.初音ミクの動画が英語圏で話題を集める背景 2011年9月にインターネット上に公開されてから約3年半。ボーカロイドのシーンから生まれた数々の楽曲の中でも、「千桜」は今や世代や国境を超え、群を抜いた人気を誇っている。 黒うさPによって投稿されたオリジナル曲は、2014年3月23日現在で860万回以上の再生回数を記録。数々の「歌ってみた」動画も投稿され、JOYSOUNDのカラオケ年間ランキングでは2012年から2014年にかけて3年連続で第3位にランクインしている。まらしぃによるピアノカバーや和楽器バンドによる演奏など様々なジャンルのカバーも公開され、昨年には演歌歌手・小林幸子も日武道館公演で“持ち歌”として熱唱した。 さらに、2015年3月には“覆面LEDユニット”CTSが、初音ミクとコラボした形でこの曲をダンスミュージックのス

    「千本桜」はなぜ国境を越えて愛されるのか? CTS feat.初音ミクの動画が英語圏で話題を集める背景
  • クラムボン・ミトが語る、バンド活動への危機意識「楽曲の強度を上げないと戦えない」

    ミトは、ある種のランナーズ・ハイの状態にあるのかもしれない、と思った。こちらの質問に対して、そんなこともわからないのかと言わんばかりに呆れたような表情を見せながら、畳みかけるように饒舌に語り続ける。その話はある種の衝撃だった。 クラムボンが結成20周年を迎え、5年ぶりのアルバム『triology』をリリースする。9枚目のアルバム。彼らのバンドとしての個性もスタンスもすっかり確立されているはずなのに、しかし、このアルバムは、これまでの作品とはまったく違う意識で作られているようだ。何度も取材して気心が知れているはずのミトの変貌は、いつもと同じつもりで呑気にインタビューしにいった僕を戸惑わせるには十分だった。 彼と話していて思い出したのは、約20数年前、テクノにはまったころの自分。耳が変わり、意識が変わり、聴くものもすべてが変わって、それまで聞いていた旧来のロックみたいなものがすべて聞けなくなっ

    クラムボン・ミトが語る、バンド活動への危機意識「楽曲の強度を上げないと戦えない」