(3)ドミナント・ストーリー/オルタナティブ・ストーリー では、ナラティブ・アプローチは、臨床の現場でどのように使われているのでしょうか。すこし触れておくことにします。 ホワイト=エプストンは、患者の状況を支配している一般的な物語を、「ドミナント・ストーリー(思い込みの物語り)」と呼んだのです。ドミナント・ストーリーは、患者が置かれている、多くは精神的な苦痛の源泉となっている支配的なナラティブ(思い込みの物語り)だとしています。 例えば、「女性は家庭内で家事をする役割は当然だ」は、各地の家庭で広くみられるドミナント・ストーリー(思い込みの物語り)とされます。 しかし、これを物語と捉えるならば、覆すことができるのです。 家庭内の様々な問題の背景には、往々にしてこうした一般的で真実の思えるストーリーがあります。 ナラティブ・アプローチは、この患者の苦しみの源泉となっているドミナント・ストーリー