「日本礼賛」が信仰になるとき 「保育園落ちた日本死ね」が2016年の流行語大賞にノミネートされて賛否が沸騰したが、密かに流行語となっているのが「日本スゴイ」である。これは日本の素晴らしさを褒める言葉ではなく、日本を自我自賛する風潮を指している。 「保育園落ちた日本死ね」は日本を貶める言葉でそんなものが流行語大賞の候補になるとは言語道断だ、と腹を立てるのも、「日本スゴイ」現象の一環といえよう。 私の知る限りでは、早川タダノリ氏の『「日本スゴイ」のディストピア』(青弓社)という本が昨年に出版され、東京中日新聞でも「テレビで本で『日本スゴイ』 ブームの行く先は…」という特集記事が年末に書かれたことなどから、日本礼賛の傾向に批判的な人たち(私もその一人)の間で、「日本スゴイ」ブームというような言い方がされるようになったようだ。 私が日本礼賛の風潮が顕著になったと感じたのは、東日本大震災以降だ。 「