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ブックマーク / blog.goo.ne.jp/ikedanobuo (17)

  • オバマのグリーン・ニューディール - 池田信夫 blog

    長期的な政策なしにバラマキを競っている日の与野党に比べて、オバマ政権は10年ぐらい先をにらんだ国家戦略を着々と進めている。日では「グリーン・ニューディール」という名前から、環境政策ばかりに関心が集まっているが、書もいうようにその当のねらいはエネルギー戦略である。特に中東の石油への依存度を減らすエネルギー安全保障と、壊滅した自動車産業の失地回復という要因が大きい。 こうした戦略のコアになるのが、スマート・グリッドと呼ばれる次世代電力網である。これは太陽光や風力などの自家発電を電力網に取り込んで情報化する、というのが表向きの理由だが、当のねらいはボロボロになった電力網を更新して情報ネットワークと一体化することにある。グーグルやIBMがこれに力を入れているのも、電力網のグローバルな標準化によって、かつてのインターネットのような革命的な変化が起こる可能性があるからだ。 もう一つ、ガソ

    CUSCUS
    CUSCUS 2009/08/06
    『この「ニューディール」の本質は「グリーン」ではなくエネルギー戦略だ』
  • 認知論的転回 - 池田信夫 blog

    20世紀初頭にソシュールによって始まった哲学の革命を「言語論的転回」と呼んだのはローティだが、『認知文法のエッセンス』は、いま人文科学で認知論的転回が起こっているという。それはチョムスキーに代表される分節言語をモデルとする形式主義を否定し、言語が非言語的な生活の中から生成するプロセスをとらえようとする方法論だ。 その元祖レイコフの理論のコアにあるのは、メタファーの概念である。彼は、言語や知性は先天的に与えられたものではなく、特定の文化圏の中で形成されたフレームに依存するものだと主張する。たとえばブッシュ政権の"tax relief"という政策には「納税者を救済する」というフレームが暗黙のうちに含まれている。この"relief"というフレームの中で論争したことが民主党の敗因だった。 "The Stuff of Thought"は、このテーマを心理学の立場から論じ、言語をフレームの概念で理

  • 「勤勉革命」を超えて - 池田信夫 blog

    この不況で問われているのは、日人の働き方だと思う。日企業が戦後の一時期、成功を収めた一つの原因は、農村共同体が解体したあと、その行動様式を会社に持ち込んでコミュニティを再構築したことにある。その労働倫理の原型は明治期より古く、江戸時代に市場経済が農村に浸透してきたころに始まるといわれる。速水融氏は、これを産業革命(industrial revolution)をもじって勤勉革命(industrious revolution)とよんだ。 イギリスの産業革命では、市場経済によって農村が工業化され、資集約的な産業が発達したのに対して、日では同じころ逆に市場が農村に取り込まれ、品質の高い農産物をつくる労働集約的な農業が発達した。二毛作や棚田のように限られた農地で最大限に収量を上げる技術が発達し、長時間労働が日常化した。そのエネルギーになったのは、農村の中で時間と空間を共有し、家族や同胞のた

  • 壁と卵 - 池田信夫 blog

    村上春樹のエルサレム賞受賞スピーチの一部が、現地紙に出ている。当然「曖昧だ」とか「混乱する」とか否定的に論評しているが、抄録としてはもっとも長いので、スピーチの部分をそのまま引用しておこう:So I have come to Jerusalem. I have a come as a novelist, that is - a spinner of lies. Novelists aren't the only ones who tell lies - politicians do (sorry, Mr. President) - and diplomats, too. But something distinguishes the novelists from the others. We aren't prosecuted for our lies: we are praised.

  • 〈宗教化〉する現代思想 - 池田信夫 blog

    著者は「現代思想入門」みたいなをたくさん書いており、どれも似たような内容なので、それを読んだ人にはおすすめしない。しかし彼もいうように、そういう初歩的な知識もなしに「ネオリベ批判」とか「格差社会」を語る若者が最近、増殖しているようだ。「民族派」だったタレントがサヨクに「転向」して『蟹工船』に涙したり、秋葉原事件の殺人犯の「人間疎外」を語るメッセージに2ちゃんねるで共感の声が集まる、といった現象には不気味なものを感じる。 特にひどいのは、松尾匡『「はだかの王様」の経済学』だ。最初は冗談かと思ったのだが、どうやら彼は気で、初期マルクスの「疎外論」が現代に有効だと考えているらしい。書も指摘するように、現状を人間の質が「疎外」された状態として糾弾し、「来の姿」を取り戻そう、とネジをまくのは、かつての学生運動でおなじみの擬似宗教的なスローガンである。ポスコロも「ジェンダーフリー」もその変

  • 中山信弘氏の情熱 - 池田信夫 blog

    知的財産権研究会のシンポジウムに行ってきた。1985年から2ヶ月に1回つづけられ、100回記念という息の長い研究会だ。テーマは「著作権法に未来はあるのか」。驚いたのは、会長の中山信弘氏が「今のままでは、著作権法に未来はない」と、現在の制度の抜改革の必要を説いたことだ。特に検索エンジンが「非合法」になっている問題については、6月16日の知的財産戦略部の会合で「合法化」の方向が出され、来年の通常国会で著作権法が改正されるという。メモから再現すると、こんな感じだ:著作権法は、300年前にできて以来、最大の試練に直面している。特にPCやインターネットで膨大なデジタル情報が流通し、数億人のユーザーがクリエイターになる時代に、限られた出版業者を想定した昔の法律を適用するのは無理だ。私も最近、教科書を書くために初めて全文を読んだが、こんなわかりにくい法律は他にない。昔建てた温泉旅館に建て増しを重ねた

  • 10年は泥のように働け - 池田信夫 blog

    IPA主催による、IT業界の重鎮と学生の対話集会が、今年も開かれた。去年の集会では「3Kの“帰れない”は、帰りたくない人が帰れないだけ。スケジュール管理の問題だ」という重鎮の発言で、かえってIT業界のネガティブイメージが定着してしまったが、今年はIPAの西垣浩司理事長(元NEC社長)の「入社して最初の10年は泥のように働いてもらい、次の10年は徹底的に勉強してもらう」という発言に、学生はみんな唖然としたらしい。 これは伊藤忠の丹羽宇一郎会長の言葉で、このあと「最後の10年はマネジメントを大いにやってもらう」と続くそうだが、これじゃ霞ヶ関の役人と同じだ。若いときは「雑巾がけ」で会社にご奉公し、年をとってから楽なマネジメントで取り返すという徒弟修業型のキャリアパスは、組織が永遠に不変で、自分がそこに定年まで終身雇用で勤務するという前提でのみ成り立つインセンティブ・システムである。 日の年

  • 幸運な宇宙 - 池田信夫 blog

    物理学の啓蒙書に、よく「数式なしで現代物理学が理解できる」という類のキャッチフレーズがあるが、これは嘘である。たとえば特殊相対性理論は、ニュートン力学とマクスウェルの電磁気学を数学的に統一する理論として理解するのがもっとも単純明快で、「宇宙船の中では時間が伸びる」といった解説は、かえって混乱する。 しかし書のテーマである人間原理(著者もいうように正確には「生命原理」)は、問題そのものは中学生でも理解できる。これについては、過去の記事でこれに賛成すると批判するを紹介したので、基的な説明は省くが、書はそれに「第三の答」を出そうとするものだ(だから人間原理を知っている人は第10章だけ読めばいい)。 そのアイディアは、Wheeler(先月死去した)の遅延実験として知られているが、超簡単にいうと、EPRパラドックスでも知られる因果律の逆転を根拠にするものだ。これは要するに「(事前の)電

    CUSCUS
    CUSCUS 2008/05/05
    観測問題も、アインシュタイン以来の懸案だが、最近は非干渉化理論による解釈が有力らしい。
  • 非ニュートン的な科学 - 池田信夫 blog

    ノーバート・ウィーナーは、しばしば「情報科学の父」と呼ばれるが、彼の主著『サイバネティックス』(1948)をいま読むと、むしろ現在のコンピュータとはまったく違うことに違和感を覚える。副題が「動物と機械における制御と通信」となっている通り、ここで彼が情報システムのモデルにしているのは生物である。その第1章は「ニュートンの時間とベルグソンの時間」と題され、ニュートンの可逆的で決定論的な時間に対して、ベルグソンの進化論的な時間概念を情報科学に導入しようとしている。 情報科学の主流になったのは、ウィーナーの考えたような自己組織系ではなく、外部からプログラムとして与えられた命令をメカニカルに処理するフォン=ノイマン型コンピュータだった。それは世界を機械と考え、人間がそれを神のように外からコントロールするニュートン的なシステムである。自然科学のモデルも依然としてニュートンであり、社会科学でも経済学

  • 最新・経済地理学 - 池田信夫 blog

    経済の長期低落に歯止めをかける上で重要なのは、資と人材だ。このうち資については「鎖国派」も根強く残っているが、少なくとも福田首相がダボス会議で「対日投資」の促進を呼びかけるなど、政府として「開国」の姿勢はみせている。 問題は人材である。日の労働生産性がG7諸国で最低、OECD30ヶ国中20位と低いことはよく知られているが、これは日の労働者個人の能力が低いからではない。労働市場の流動性が低いためだ。特に官庁・銀行などの衰退産業に偏差値の高い人材がロックインされ、前向きの仕事がないため既得権を守ることが最大の仕事になっており、これがさらに新しい産業の成長を阻害している。 こうした労働鎖国の象徴が、書の主題であるシリコンバレーへの留学生だ。中国やインドや台湾のハイテク産業を支えているのは、シリコンバレーに自費留学し、そこでPh.Dをとって帰国して起業した現代のアルゴノーツ(ゴー

    CUSCUS
    CUSCUS 2008/04/15
    起業やイノベーションの本質は、感度とビジネスモデルであり、それを売り込む人脈だ。これらは個人的知識だから、大学で教わることはできない。シリコンバレーは、それを体で教える「コミュニティの学校」だ。
  • 日本の「安心」はなぜ、消えたのか - 池田信夫 blog

    高市早苗氏も高井美穂氏も、インターネットが「青少年に対するいじめに当たる情報であって、当該青少年に著しい心理的外傷を与える」と思っているらしいが、それは実証的に確かめられたこともない通俗的な思い込みに過ぎない。いじめというのは今に始まったことではないし、インターネットが原因でもない。 著者は、いじめは子供が集団を形成するとき異質な分子を排除する伝統的な行動だと指摘する。それが「心理的外傷」を与えるほど暴力的になるのは、多くの子供が喧嘩や悪口などのノイズに免疫がないため、群衆行動に走るからだ。したがって、インターネットから子供を隔離して「無菌状態」に置くのは、かえって子供の免疫力を弱め、いじめを助長するおそれが強い。 古きよき「国家の品格」が失われたために子供の心が荒廃した、という類のセンチメンタリズムも、著者は実験データをもとに一蹴する。伝統的な小集団では、「村八分」のような繰り返しゲ

    CUSCUS
    CUSCUS 2008/04/05
    囚人のジレンマの実験を行なうと、「集団主義」と思われている日本人のほうが、猜疑心が強いためナッシュ均衡(互いに裏切る)に落ち込みやすく、アメリカ人のほうがパレート最善均衡(互いに協力する)に到達しやす
  • 「情報大航海時代」の航海術 - 池田信夫 blog

    先月、情報大航海プロジェクト(通称「日の丸検索エンジン」)のシンポジウムが行なわれた。席上、プロジェクト側が技術的な成果を説明したのに対して、会場からは「こういう産業政策はもう古いのではないか」とか「ビジネスモデルが見えない」といった疑問が相次ぎ、演壇の某教授(学界の長老)が「若者を育てようとしているのに、それをdiscourageするような話ばかりするな」とキレたそうだ。ここに問題が象徴されている。その長老教授は、主観的には善意で新しいプロジェクトを育てているつもりなのだ。 このプロジェクトの名前に「大航海」とついているのも皮肉である。以前の記事でも書いたように、株式会社という制度は、この大航海時代に生まれたものだ。それは、出航した船の半分以上は帰ってこない、非常にリスクの高いプロジェクトの資金を調達するため、リスクを株式という形で小口にわけ、無事に帰ってきたらもうけは株主が山分けでき

    CUSCUS
    CUSCUS 2008/04/02
    何か響くものがあった。独立系シンクタンク
  • ムーアの法則の歴史的帰結 - 池田信夫 blog

    私の新著は、まだ屋には並んでいないが、アマゾンで先行発売されたようだ。さっそくDankogai氏からTBがついているので、少し補足しておこう。 ムーアの法則による「コスト低下のスピードが遅くなっている」という実感は、彼のようにサイバースペースのど真ん中で仕事をしている人には当然だろう。問題はむしろ、「こちら側」ですらなく、情報産業の「外側」にいる大多数の人々に及ぼす影響だ。拙著(p.93〜)でも書いたように、コンピュータは電力のような汎用技術なので、それを利用した応用技術が発達しないと、真のインパクトは見えてこない。アメリカで最初の発電所ができたのは1870年代だが、電力使用量が蒸気機関を上回ったのはその50年後である。 コンピュータの場合、集積回路の発明された1960年から数えても50年たっておらず、すべてのの情報のうちデジタル化されたのは5%にすぎない。狭義の情報産業を超えた影

    CUSCUS
    CUSCUS 2007/12/09
    こういうペシミズムを私は好む。
  • The Black Swan - 池田信夫 blog

    ふつう自然科学や経済学で確率を考える場合、ほとんど正規分布を仮定している。しかし実際に世界を動かしているのは、そういう伝統的な確率論で予測できない極端な出来事――Black Swanである。 たとえば9・11の前に、今のように厳重なセキュリティ・チェックが提案されても通らなかっただろう。飛行機ごとビルに突っ込むという行動は、人々の確率論的なリスク評価の枠外にあったからだ。このように、いわばメタレベルで人々の予想を裏切る現象がBlack Swanである。ここでは母集団が未知なので、その確率分布もわからない。圧倒的多数の出来事はごくまれにしか起こらないので、その分布は非常に長いロングテール(ベキ分布)になる。 著者がBlack Swanを理解していた唯一の経済学者として挙げるのがハイエクだが、実は彼より前にこの問題をテーマにしたがある。Frank Knightの"Risk, Uncert

    CUSCUS
    CUSCUS 2007/06/26
    Black Swan:母集団が予測不可能なので、その確率分布もわからない不確実性
  • 清く貧しく美しく? - 池田信夫 blog

    渡辺千賀さんの「日は世界のブラックホールか桃源郷か」という記事を読んで、また小姑モードでコメントしたくなった。「外貨をそれほど稼がずとも、自立して清く貧しく美しく、割と幸せに生きる」 マクロ経済素人が考えることなので、まぁダメダメかもしれないが、当にシュミレーションしてみたら面白いんじゃないかなぁ、と思うんですよね。幸か不幸か、日IT産業は、今そういうシミュレーションをやっている最中だ。特にひどいのは、渡辺さんおすすめのように世界から完全に孤立した携帯電話業界で、日メーカーの世界市場シェアは、全部あわせても(外資と合弁のソニー・エリクソンを除くと)5%ほどしかない。おかげで各社とも青息吐息で、さすがに総務省も見かねてSIMロックの規制に腰を上げた。 携帯以外の通信機器も、ながく「NTT規格」で鎖国してきたおかげで、インターネット機器は壊滅状態。今ではNTTのNGNエッジルータ

    CUSCUS
    CUSCUS 2007/06/25
    日本の電気メーカーの衰退原因はこういうことだったのか。
  • 封建的特権としての著作権 - 池田信夫 blog

    5/31の記事について、問題を理解しないでごちゃごちゃコメントしてくる人がいるので、著作権について「法と経済学」の立場からあらためて整理しておこう。 第一に、著作権によって社会全体の利益が増加するという根拠はない。著作権の質は、複製を禁止して独占を作り出すことなので、ほんらい経済的には好ましくない。それが許されるのは、独占によって情報生産のインセンティブを作り出す社会的利益が独占の弊害(消費者の損害と再利用の阻害)を上回る場合に限られるが、そういう結論は、理論的にも実証的にも証明されていない。知的財産権(独占権)の経済効果は負であるという研究もある。 またオープンソースをみれば明らかなように、複製を禁止することはインセンティブを高める必要条件ではない。特許の認められなかった初期の金融工学において爆発的なイノベーションが生まれたことは、よく知られた反例である。最近では、金融技術に「ビジ

    CUSCUS
    CUSCUS 2007/06/06
    「本源的な情報生産者=情報消費者に富が配分されるシステムが実現する」か
  • 池田信夫 blog - オープンソースについての誤解

    前の『ウェブ人間論』に比べると、話が噛みあっているだけましだが、中身が薄いのは同じだ。ウェブと脳のネットワーク構造の話など、おもしろい論点はあるのだが、茂木健一郎氏の専門知識が中途半端なので深まらない。気になったのは、梅田望夫氏のオープンソースについての認識だ:オープンソースというのは、誕生してからわずか10年以内です。もともとフリー・ソフトウェアというのはあったけれど、それは一つの研究室の中で作られるなど、物理的制約に縛られていた。(p.33)Richard Stallmanが聞いたら、椅子から転げ落ちるだろう。GNUプロジェクトができたのは1984年、Linuxの開発が始まったのは1991年だ。EmacsもTeXも、インターネットを使ってさまざまなバージョンが共同開発された。たしかに"open source"という言葉をEric Raymondが使い始めたのは1998年だが、それ以前か

    CUSCUS
    CUSCUS 2007/05/30
    いいぞ、悲観論。
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