鉄道紀行作家の宮脇俊三さんの代表作に「最長片道切符の旅」がある。乗車駅から最終目的地まで最も距離の長い片道乗車券で日本列島を旅したルポ。JRがまだ国鉄だった1978年、北海道の広尾と鹿児島県の枕崎の間を、同じ駅を2度通らない一筆書きルートで完乗している。 総延長1万3300キロ余り。当時の国鉄全線の63%に当たるが、今、同じ旅をすると2千キロ以上短くなるそうだ。ローカル線の廃止など諸事情があるが、四国がルートから外れたのが大きい。 宮脇さんは四国に宇高連絡船で入り、松山市から仁堀連絡船で広島県呉市に渡っている。しかし両鉄道航路の廃止で本四間の鉄路は瀬戸大橋線のみとなり、四国は袋小路になってしまった。 最長片道切符のルートはこの先、さらに短縮されるかもしれない。鉄道には1日の平均乗客数が1キロ当たり4千人に届くか否かのラインがあり、国鉄改革の際はバスへの転換の目安の一つとされた。 JR発足時