企業の純利益から、税金、配当金、役員賞与などの社外流出分を差し引いた残りで、「社内留保」ともいう。ひらたく言えば「企業の儲けの蓄え」のことだが、会計上は「利益準備金」「任意積立金」「繰越利益剰余金」などの項目で、貸借対照表の純資産の部に計上される。これまで外需拡大の恩恵に浴してきた日本企業、とりわけ輸出型製造業の内部留保は、欧米の企業に比べてきわめて厚いと指摘されている。実際、製造業大手2200社の利益剰余金は約72兆円(2007年)で、景気低迷期(02年)の55兆円から大幅に増加。一方、従業員の給与は22兆円から21兆円へとダウンしている。このため、景気後退局面に入った頃から、企業が抱える巨額の内部留保を労働者に還元すべきという論調が見られるようになった。当初は共産党や労組が主張していたが、雇用不安が深刻になった08年末~09年にかけて、政府閣僚からも同調する声が相次ぎ、雇用維持の財源と