荒涼という言葉はこの場所のために作られたのかと思うような景色が広がるアルゼンチン、リオネグロ州のソムンクラ高原で、獣医のヘラルド・ロドリゲス氏は静かに草を食む一頭のウマを見つけた。乾ききったこんな陸の孤島にウマがいるだけでも奇妙なうえ、氏がそれまでに見たどのウマとも違っていた。巻き毛だったのだ。 当初ロドリゲス氏は、そのウマは病気になっているか、汗をかいているだけだと考えた。しかし、ガウチョ(南米のカウボーイ)が驚くべきことを教えてくれた。干ばつや火山の噴火などで数が減る前は、このような巻き毛のウマがよく見られたという。(参考記事:「時代を先取り?くるくる巻き毛の動物たち 4選」) このウマに夢中になったロドリゲス氏は、売ろうかと言われてイエスと即答した。妻のアンドレア・セデ氏も同じで、すぐにこのウマと心を通わせた。「この子と会ったときのことは一生忘れません。ずっと一緒にいたかのように、私
