同僚とバッティングセンターに行った。夕方のバッティングセンターは人の姿もまばらで、時折、どこからかボールを弾き返す音がカーンカーンと響いているのみ。一ゲームを終え、100円玉が残ってないことに気付いた僕が両替機のところに行くと、同僚が両替機から100円玉を取り出しているところだった。彼はネクタイを外し、Yシャツを腕まくりしていた。手首のところに紫色の痕があった。痕はかなり濃い色をしていて、見ているだけで痛々しい。 同僚と入れ替わりで両替機の前に立つ。「調子どう?」「全然。久しぶりだからね」スポーツを普段しない人間同士で交わされる、ありきたりの会話。両替を終えて100円玉を手にした僕は、気になって、右手の紫色の痕について尋ねた。「どうしたの右手のそれ」「ああ、これか」彼は間を置いて、バッティングゲージの方に目線を投げ、他の人がボールを打ち返す様子を見た。それから寂しそうな顔をして言った。「内