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ブックマーク / www1.odn.ne.jp (19)

  • 紙屋研究所 - 荒木飛呂彦『死刑執行中脱獄進行中』

    荒木飛呂彦『死刑執行中脱獄進行中』 この感想文は、ぼくのホームページを読んでくれているとおぼしき人から、掲題の作品について、「読んで感想を聞きたい」というメールをもらって、作を読み、書いたものである。 ※ネタバレがあります。 荒木の漫画は、精神のテンションを人為的に上げさせる。 ジェット・コースターに似ている。 とくに、主人公を攻撃する登場人物が、たとえば「おれだぁぁぁぁぁぁ、やっぱり来ぃぃぃぃやがったぜぇぇぇぇぇ」とヨダレを垂らしながら叫ぶシーンなどが特にいけない。もー、ぼくなんか最高度に緊張してしまう。レベル7だ。ああいうふうに叫ばれている瞬間というのは、青びょうたんが誰も来ない廃屋で、番長100人くらいに凄まれているような、絶体絶命感を、きわめて人為的に感じさせられてしまう。 脅しの文句を怒鳴るだけ、絵が怖いだけの漫画は、山のようにある。 そんなものはちっとも怖くない。 しかし、荒

    Crowser
    Crowser 2011/09/29
    「荒木の漫画は『数学』に似ている」「厳密な条件設定の迷路のなかで、ぼくらはまったく身動きがとれなくなる。」
  • 紙屋研究所 - 吉野朔美『恋愛的瞬間』

    吉野朔実『恋愛的瞬間』 「オトコとオンナの間に友情は成立すーるか?」 なんてベタな……。って、これ、吉野朔実の作品のテーマじゃありませんから。 これは、ぼくの女友だちが、ぼくと旅館に泊まったさいに、夜中に言ったこと。って、ぼくだけじゃなくてグループで泊まったわけですから。 この人には、「相談に乗っているうちに、上に乗ってしまう」などというシチュエーションが不思議で仕方がないわけだ。彼女にとって、世界は、友情と恋愛にはっきりと分裂している。 彼女には、この『恋愛的瞬間』に登場する心理学者・森依四月が、主人公・ハルタたちに「友情と恋愛の違いはなんでしょう」と聞かれたときの、次のやりとりをぜひかみしめてほしい。 森依「…恋愛は あらゆる抵抗に打ち勝つ相思相愛の力。友情は 相思相愛でありながら 抵抗によって達成できない疑似恋愛関係」 ハルタ「抵抗?」 森依「同性であるとか 既婚者であるとか 恋人が

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    Crowser
    Crowser 2011/09/29
    「スーパー職業人」ではない、しかしリアルな等身大の自立
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    Crowser 2011/09/29
    「そこには70年代のころのようなベタベタした友情とか愛情というものは、ほんとうにうそくさいものとしてカケラも残らないほど追放されている。かわりに、それをあらわす友情や愛情の表現というのは、どこまでも索漠
  • 紙屋研究所 - 矢沢あい『NANA』

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    Crowser
    Crowser 2011/09/29
    「友情や絆の共同体がある。恋愛感情や仕事は、それをしばしば破壊するものとして登場する。ところが『NANA』的世界は、恋愛や仕事を超克してその絆の共同体を維持し続けるという、空前絶後の世界、ユートピアなので
  • 安野モヨコ『花とみつばち』

    安野モヨコ『花とみつばち』 今年(2002年)いちばん驚かされたニュースの一つは、安野モヨコと庵野秀明の結婚だろう(「驚いた」のであって、「重大」ではない)。 90年代のサブカルチャーの最大所産を、ある論者は『エヴァ』と『ハッピー・マニア』をあげていたが、その二人が結婚ということで、巷間で「サブカル界のロイヤル・ウェディング」などといわれるのも無理はない。 安野は少女マンガ界ではずっと鳴かず飛ばずだったが、女性誌に移って『ハッピー・マニア』を描いて大ブレイクした。以後、出すもの全てが大当たりし、商業的成功というにとどまらず高いクオリティを保ちつづけている。 少女マンガ時代に描いた『トランプス』を読んだことがあるが、とても窮屈そうだ。ノリも登場人物配置も、それ以降の作品群と似ているのに、どこかしら解放されていない。恋愛を装飾や理想の中で描かねばならないという少女マンガの制約に大きく拘束されて

  • 『風の谷のナウシカ』批判

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  • 相田裕『GUNSLINGER GIRL』

    相田裕『GUNSLINGER GIRL』 今回は「虚構」と「現実」、その「ユートピア/ディストピア」についての感想を書く。これは「虚構」について。(「現実」についてはこちら) ※以下の感想には一部ネタバレがあります。 作品は、〈外傷〉のない、〈空虚〉=無根拠な美少女たちが、テロリストたちを相手に苛酷な戦闘を繰り広げる話で、典型的な〈戦闘美少女〉の形象である。 身体障害者となった少女たちに、義体による加工をほどこし、銃を与え、テロリストを抹殺させる任務を追わせるというのが、あらすじである。体を改造するさいには、麻薬による洗脳をおこない、「フラテッロ」(兄妹)とよばれるチームを組む男性担当官への「条件づけ」、つまり命令への忠実さを植え付ける。 作品の中心にすわるのは、少女たちの担当官への「愛」であり、銃と戦闘の知識を教えながら、ぬいぐるみの贈り物や、同伴旅行といった、男性担当官たちの武骨な「

  • 紙屋研究所 - 榛野なな恵『ピエタ』

    榛野なな恵『ピエタ』/78点 (ネタバレがあります) 榛野なな恵にとって、世界は、彼岸と此岸に分裂している。 平凡と普通を強制する帝国と、そこからはずれた人たちの共同体である。 『Papa told me』ではその分裂が提示されるにとどまる。 帝国はたえず、侵入してくる。「結婚せよ」「子どもは○○らしく」を強制する帝国は、フリルをつけた「デコラティブ」(by的場知世)な服で武装している(下図参照)。共同体の住人たちは、それに違和感や息苦しさを感じ、ただ防御に徹するのみである。 「入ってこないで」が共同体側の最小限の要求スローガンである。「そっちはそっちでやっていてくれたらいい。どうして私たちのささやかな幸せまで邪魔するの?」──それが榛野の小さなつぶやきなのだ。この時点では。 榛野は短編集『卒業式』で帝国にたいする戦闘を開始する。平凡と普通とクローニーを押しつける帝国に、たった一人で宣戦布

    Crowser
    Crowser 2011/09/29
    「榛野は一見、個人主義的な原理の体裁をまとっているが、それはアトム的・孤立的な個人主義ではない。実は榛野が根底で欲望しているものは、共同体である。」 「榛野が構築したユートピアは、ただのユートピアでは
  • 小畑健・大場つぐみ『DEATH NOTE デスノート』

    小畑健・大場つぐみ 『DEATH NOTE デスノート』 批評家などの間で昨年(2004年)、非常に評価が高かった作品。 むろん、少年ジャンプ誌上でも絶大な人気を誇ったわけで、青少年読者にも歓迎された。 『このマンガを読め! 2005』(フリースタイル)を読むと、「まるで浦沢直樹のようなミステリー仕立てで、少年マンガとは思えない」(夏目房之介)、「21世紀版『罪と罰』」(斎藤宣彦)、「この人(小畑)じゃなかったら、こんなネームだらけの心理戦ばかりの展開の話を漫画に出来ないですよ」(江口寿史)などと絶賛の言葉が並ぶ。 ちなみに同書での竹熊健太郎のコメントは「行き詰まる頭脳合戦はまことにスリリング。非常によく練られた設定と展開」、というものだった。 「行き詰ま」ってどうする。 そのノートに名前を書かれた人間は必ず死ぬ、という「デスノート」を拾った主人公・夜神月(ライト)は、それを使って犯罪者=

    Crowser
    Crowser 2011/09/29
    「『デスノート』の面白さというのは、単純にゲームとしての面白さである。」
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  • あずまきよひこ『よつばと!』(紙屋研究所)

    あずまきよひこ『よつばと!』 榛野なな恵『Papa told me』にたいして、関川夏央は、を亡くした文筆業の父と娘、という人物配置に次のようなコメントをくわえている。 「娘は、セックスをしなくても許してくれるである。口うるさいが、やわらかな頬をした小さな母である。再婚しないのは娘のためだというのはいいわけで、たんに彼自身の都合のためでもある。もっとも、徹底したエレクトラ・コンプレックスの娘のほうも、今後永遠に恋愛にもセックスにも悩まずに済むから、心安らかに暮らせるという有利さはあるだろうが」(※1) ほかの登場人物についても思い当たるふしがある。 父の妹は、ある化粧品会社につとめる、いわゆるキャリア・ウーマンであるが、結婚していない。父を担当している編集者も結婚していない。母親や周囲から結婚せよという無言の圧力をくわえられ、息苦しさを感じながらも、それを精神のしなやかさによって躱して

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  • 志村貴子『放浪息子』1巻

    とにかく志村貴子である。 いま、ぼくは、志村にむちゅう。 すでにどれも読んだが、再読・精読をしはじめてしまった。 『敷居の住人』からはじまり、『ラヴ・バズ』ときて、現在『放浪息子』。 もう何十回読んだかしれない。 朝、昼と、メシをいに外に出かける。そのたびごとに、休み時間をめいっぱいつかってコマの隅から隅までナメるように読む。あぁ、プロントのおねいさん、さぞぼくをキモいやつだとお思いでしょうね。 『放浪息子』は、小学生の男の子が、女の子になりたいという気持ちをかかえつづける話。対照的に同級生のハンサムな女の子は、男の子になりたがっている。(以下、ネタバレあり) 内気な主人公・二鳥修一が、かわいい。 ちょっと顔を赤らめる。すぐ赤らめる。 ひんぱんにはいる逡巡の記号「……」。「……二鳥修一です」「ぼくは……いくじなしなんかじゃない……」「ごめんなさい……」。 すぐどもる。くり返す。「み 見た

  • 星里もちる『ルナハイツ』

    星里もちる『ルナハイツ』/68点 「かわい女子と寝て暮らそ」 日で最初に発禁処分になったレコードの歌詞である。 近代の一つの新しい女性像を示した女優・松井須磨子が歌ったトルストイの劇中歌の一節だ。天皇制権力にとって、この欲望は目もくらむほどに危険な思想だったようである。逆にいえば、近代の男性の欲望の原型の一つであろう。 星里もちるが描いてきた欲望は、『りびんぐゲーム』以来、一貫してこれであった。 しかも、そのうち、「暮らそ」という点に、多くはアクセントがおかれている。 『りびんぐゲーム』『オムライス』『気になるヨメさん』は典型的なそれで、かわいい女の子と一緒に住むというテーマが正面から扱われている。 それ以外の、たとえば、『結婚しようよ』『夢かもしんない』でも、やはり好きな女性と「暮らす」(または「暮らせない」)ことへの執着が強い。 タッチをガラリと変えたといわれた、近作の『気のしるし

  • 間瀬元朗『イキガミ』 紙屋研究所

    間瀬元朗『イキガミ』 漫棚通信ブログ版でとりあげられていて、触発された。 http://mandanatsusin.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/post_6654.html ずっと前に1巻を読んだとき、どっちつかずの読後感が残っていたんだけど、その正体がつかめない感じで、そのままにしているうちに忘れてしまっていたのだ。 あらすじ紹介は、面倒なので同ブログの紹介文をコピペ。 〈パラレルワールドの現代、日。国家繁栄維持法は、国民に命の尊さを認識させるため、無作為に選ばれた国民を1000人にひとりの確率で死亡させるという法律。小学校入学時に注射されたナノカプセルが肺動脈にひそみ、18歳~24歳で破裂して若者を突然死させる。人にその死亡予告証=「逝紙(イキガミ)」が届くのは死亡の24時間前です。 主人公は死亡予定者に「イキガミ」を届ける公務員。24時間後の自分

  • 4つの『蟹工船』漫画を読む - 紙屋研究所

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    Crowser
    Crowser 2011/09/29
    # 藤生ゴオ イースト・プレス イエス小池
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