真珠湾攻撃によって火ぶたが切られた太平洋戦争。その2日後の1941年12月10日、かつて世界の海を席巻した英国海軍の最新鋭戦艦プリンス・オブ・ウェールズと圧倒的な攻撃力を誇った巡洋戦艦レパルスが、日本の航空部隊のみによって撃沈された。これは、これは世界の戦争史上初のことであり、その後、海戦の様相は一変することになった。 この海戦に、一式陸上攻撃機の操縦士として参加し、その後の不利な戦況を奇跡的に生き延びて、戦後、戦没者の慰霊に尽くした男は、最後にどんな言葉を遺したのか。 大艦巨砲から制空権の争いへ 太平洋戦争が始まるまでの長い間、洋上での戦いの主力は戦艦であると考えられていた。 日露戦争で日本とロシアの艦隊が戦った日本海海戦、あるいは、第一次世界大戦でイギリスとドイツの艦隊が戦ったユトランド(ジュットランド)沖海戦に見るように、厚い装甲をまとい、大口径の砲を搭載した戦艦が海戦の帰趨を決する