今年8月6日、NEWS23「綾瀬はるか 戦争を聞く」の特集で、2005年の特別番組『ヒロシマ~あの時、原爆投下は止められた』の「原爆開発科学者と被爆者の対話」が放送されました。撮影は2005年6月。これを機会に、対話の全内容とともに、取材秘話も加えて掲載します。アグニュー博士への来日提案 「広島に行ってみませんか。いや、あなたは、広島を見るべきだと私は思う」気分を害することも覚悟して、インタビューの最後に提案した。驚いたように、博士は、妻の顔をのぞき込んだ。 その日、米カリフォルニア州の海岸沿いにある、博士の自宅をカメラクルーとともに訪ねていた。高台に立つ瀟洒な一軒家。広いテラスからは、海が一望でき、春先の心地よい風が吹いていた。 博士の名は、ハロルド・アグニューという。この時、85歳。第二次世界大戦中、米国の原爆開発の「マンハッタン計画」に参加した科学者である。大柄な体格だが、少々丸くな