部屋にいるとろくなことがないのでなるべく外出するようにしている。というのも、携帯の電話を切って部屋に潜伏していると、母から固定電話にかかってきて、先日お見合いした娘さんとはどうなった、鉄は熱いうちに叩け、などと言われるのが目に見えているからである。あるいは新聞、宅急便、牛乳屋、様々な集金人がやってきて、ピコーンと一回鳴らせば用は足りるというのに、追い込みをかけるようにピコーンピコピコピコピコピコーンと二度三度と呼び鈴を鳴らすのがわかっているからである。 電話が鳴っては、留守電に録音されていく母親の声を反論もせずにじりじりしながら聞いたり、呼び鈴が鳴っては、すばやく灯りを落としステレオやパソコンの音を絞り、息をとめ、集金人が諦めて去るのを待ったりという生活は精神的によろしくないので、当然至極な結論に至る。「部屋には戻らない=外出」。とはいえ、僕が部屋に戻らず、日本列島のどこに潜伏していても、