ここに宝箱がふたつあります。 ひとつめの箱には「緻密な統計に裏付けられた野球理論」が入っています。もうひとつの箱には「人の心を動かす力」が入っています。あなたはどちらが欲しいですか。 楽天の野村克也監督なら、理論の宝箱を選ぶのだろうか。それとも「わしはそんなもん持ってるから、もういらん」と言うのか。一方、巨人の原辰徳監督なら、迷わず、人の心を動かす宝箱を選ぶだろう。指揮官にとって、それがいかに大切かをよく知っているからだ。“人の心に火をつける采配”はもっと評価されるべき。 6月16日の西武-巨人戦、試合後のヒーローインタビューに立ったのは、石井一久から逆転の3ランを打った木村拓也だった。 同じく翌6月17日の西武-巨人戦、ヒーローインタビューに立ったのは、涌井秀章から決勝のホームランを打った途中出場の古城茂幸だった。 木村拓也も、古城も、他球団で居場所がなくなり、2006年