inside Enterprise 日々刻々、変化を続ける企業の経営環境。変化の中で各企業が模索する経営戦略とは何か?ダイヤモンド編集部が徹底取材します。 バックナンバー一覧 国内製薬最大手の武田薬品工業は、スイスのナイコメッドを買収する。日本では無名に近い会社の獲得に約1兆円の手元資金の多くを取り崩すことに、社内外から批判的な声が少なくない。だが、「国際感覚に秀でた長谷川閑史社長らしい選択だ」と、ある製薬会社の首脳は納得の表情を見せる。 武田は2008年に米ミレニアム・ファーマシューティカルズを89億ドル(約7200億円)で買収している。ミレニアムは武田が強化を進めるガン領域で新薬候補と研究開発ノウハウを持つ。まだ大きな成果が出ていないために外部から厳しい評価もあるが、自社の製品力を強化するというわかりやすい買収だった。 今回の買収は狙いが異なった。ナイコメッドは新薬候補が特に業界で話題