今田 高峰 (宇宙機システムデザイナー) 最近、土木がマイブームです。 自転車で旅をしていると、山越えルートのカーブの先で、ひょっこりとダムの堤体が現れることがあります。ダムにはいろんな種類がありますが、立地、工期、資材(岩石)、輸送などのさまざまな制約を受けながら、その時点で得られる技術の範囲内で最小の労力で最大の水を貯め込めるように、技術者が知恵の限りを尽くしているのが伝わってきて、毎回出会いを楽しめます。 さて、重力に縛られず空気の抵抗もない、我らが宇宙機のシステムも、そんな技術者の葛藤と無縁ではありません。なにより、重量に関する制約が厳しく、ミッションで使用する機器の視野、制御精度などに合わせながらも、贅肉のついた設計は許されません。図-1の火星衛星探査計画MMXの探査機想像図は、そんな事を考えながら私が3Dでスケッチしたモデルに、ペンタブレットで手描きした背景を加えたものです。