「ものを書く人間のユートピア」 小さい頃からSFが好きでしたが、その原点はコロコロコミックで連載されていた『ドラえもん』です。『のび太と鉄人兵団』は大長編シリーズの7作目で、ドラえもん史上、最強の敵キャラクターが登場します。 宇宙から高性能のロボットたちで構成された鉄人兵団が攻めてきて、人類を奴隷にしようとする。一方、対峙するのは子どもたち5人だけ。内容もハードで絶望的な状況まで追い込まれる緊張感があります。 ラストも印象的です。ドラえもんがのび太のある問いかけに対し、「信じようよ」と答えるシーンがあるんです。私はその後、光栄にも本作をノベライズさせていただいたのですが、この台詞は「わからない」に変えました。 合理的な科学から生み出されたロボットが、何かを信じるという非合理的なことを口にする意味は何なのか。藤子・F・不二雄先生の筆のすべりかもしれませんが、とにかく衝撃的でした。今でも変更が