十年一昔より少し前の2006年、医療保険制度の大改革のころ、この国は、奇妙な話で、大いに盛り上がっていた。 1994 年に出された2025年の医療費の見通しは141 兆円で、その6年後の2000 年に試算された2025 年の医療費は81兆円、そしてさらに6年後の2006 年になされた2025 年医療費試算では65 兆円であったことを受けて、「なぜこんなにも予測の失敗を繰り返すのか。過大な予測をわざと出して、医療費抑制機運を高めようとする厚労省の陰謀ではないか!」と、みんなで盛り上がっていたのである。もちろん、この話は国会でもとりあげられていた。 過大推計は本当か そこで、2006年12月に「医療費の将来見通しに関する検討会」が開かれ、この問題が議論されることになった(2007年7月まで)。私もこの会議に呼ばれたのであるが、それは、一国の医療費は、通常の再分配政策と同様に政治的に決められるも
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