埼玉県ふじみ野市の民家で在宅医療を担う医師が殺害された「立てこもり」事件は、27日で発生から1年になる。医師を殺害したとされる男は起訴されたが、初公判は未定で、全容はいまだ不明だ。こうしたなか、在宅医療・介護の担い手が患者や利用者、家族からの暴力やハラスメントに苦しんでいる実態が浮き彫りになり、埼玉県などを中心に手探りで対策が進む。 埼玉県が始めた取り組みの一つが、在宅医療や介護・障害福祉の担い手専用の「暴力・ハラスメント相談センター」の設置。昨年12月1日に開き、2カ月弱で20件以上の相談が寄せられた。介護の担い手が多く、「過度な要求を繰り返す」「暴言やセクハラがある」「対応が不適切だと激高された」などの内容だった。 センターは、患者・利用者、家族との接し方のほか、市町村、警察への相談の方法やタイミングなどについてアドバイスしている。危険が及びそうな事案では相手とのやりとりを記録すること