ブックマーク / eboli.exblog.jp (14)

  • 受け継がれるもの : 漂流生活的看護記録

    去年のアルゼンチン滞在中と同じく、ちょっと隣のウルグアイまで友人に会いに行ってきた。ブエノスアイレスのホルヘ・ニューベリー空港(アエロパルケ)から飛行機で...去年のアルゼンチン滞在中と同じく、ちょっと隣のウルグアイまで友人に会いに行ってきた。ブエノスアイレスのホルヘ・ニューベリー空港(アエロパルケ)から飛行機で40分、ダルセナ・ノルテ港からブケブスがフェリーを出していて、直行便なら高速艇で3時間、コロニア・デル・サクラメント経由なら1時間、そこからバスに乗り換え約3時間でウルグアイのモンテビデオに着く。 わたしが訪ねた友人はウルグアイ最大手の政府系銀行に勤務していて、わたしが南米での医療系NPO活動をする資金関係もあり、直接顔を合わせることはなかったものの5~6年前からメールでのやりとりを細々と続けているだけの仲だった。しかし一昨年の震災の直後、彼はすぐに「もし必要ならウエスタンユニオン

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    DrPooh 2013/06/04
    自分たちが信頼されているのは先人の努力によるところが大きい,というのは自覚しておかないと。国家に限らず。
  • 最後の敵 : 漂流生活的看護記録

    現在わたしのごく身近な人がガンであることがわかり、闘病中である。彼自身から病名をカムアウトされたとき、わたしは「それって・・・」と言葉に詰まった。医療者な...現在わたしのごく身近な人がガンであることがわかり、闘病中である。彼自身から病名をカムアウトされたとき、わたしは「それって・・・」と言葉に詰まった。医療者ならまず知らない者はいないぐらい悪性度の高い(予後の悪い)種類の腫瘍だったからである。たまたまその頃大学の死生学の講義でガン患者のインタビュー集を読まされていた時で、その中の「自分がガンであると告知されたときよりも、周囲の人々にそのことを伝える方が私にとってはずっと苦痛でした。そう伝えたとたんにみんながすうっと後ろに下がっていくように感じたからです。彼らの頭の中で私なしの人生がそこですでに始まっていました、私はまだ目の前にいるというのに!」という言葉を思い出し、彼にどういう言葉をかけ

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    DrPooh 2013/03/24
    職務上直接目にすることは多くても自分がリアルに想像できているかどうかはよく分からない。感じているのはおそらく片鱗にすぎないのかも。
  • 芸は身を : 漂流生活的看護記録

    の旗が昇る朝日なら、この国は青空の中天に輝く真昼の太陽なのだと思う。11月の末から2週間ほど、ブエノスアイレスに行ってきた。アルゼンチンでは今年5月に...11月の末から2週間ほど、ブエノスアイレスに行ってきた。アルゼンチンでは今年5月に人工呼吸器や体外循環などの機械のアシストがなければ生命維持ができない状態であること、そしてその状態は不可逆的であること、人の意思が明確であることを条件に「治療行為の停止」を認めるという尊厳死法案が上院を通過し、次の議会で可決の見通しだという現地紙の記事を半年前に読み、あのローマンカトリックの影響の強い国で、どういった反応が見られているのかどうしても知りたくなったのである。 そしてひょんなことからまだ軍事政権下だった70年代に看護師になり長年がん看護に携わり、50歳過ぎてブエノスアイレス大学に入学しなおして今年精神看護で博士号を取得した看護協会に勤める

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    DrPooh 2013/01/01
  • 名誉回復 : 漂流生活的看護記録

    ペルーでは今年に入ってから学校でのいじめが原因とされる自殺が都市部を中心に相次いでおり、7月の終わりには自殺者は7人を数え、事態を重く見た教育省が公立私立...ペルーでは今年に入ってから学校でのいじめが原因とされる自殺が都市部を中心に相次いでおり、7月の終わりには自殺者は7人を数え、事態を重く見た教育省が公立私立を含めたすべての初等、中等教育機関に調査を入れたところピウラ県だけで240件のいじめの報告があった。そして先月はアレキパにある軍学校で15歳の生徒が農薬を飲んで自殺を図った。幸いこちらは一命をとりとめたが、現在学校でのいじめが原因で自殺した生徒は今年に入りすでに13人にのぼる。リンク先の記事によると、ペルーでの去年の自殺者は国民全体で312人、今年は現時点で201人となっている。日の年間3万人(未遂や24時間以降の死亡などカウントされないケースも含めると10万ともいわれている)と

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    DrPooh 2012/10/04
    『謝罪が名誉を取り戻すわけではないし、まして忘れることが名誉回復の代わりになるわけではない』
  • 決意はいつでも翻る : 漂流生活的看護記録

    今ではほとんどが蘇生後脳症の遷延性意識障害の患者ばかりになってしまったが、うちの病棟は来ALSや筋ジストロフィーなどの神経難病の進行で人工呼吸器管理が必...今ではほとんどが蘇生後脳症の遷延性意識障害の患者ばかりになってしまったが、うちの病棟は来ALSや筋ジストロフィーなどの神経難病の進行で人工呼吸器管理が必要になった人たちのための病棟である。あるとき在宅で介護を受けてきたのだが、肺炎で急激に呼吸状態が悪化し、救急搬送された先で挿管されて人工呼吸器をつけることになった神経難病の患者が転院してきた。身体症状の進行でもうすでに在宅での介護に限界を感じ始めていた家族も、介護の上にさらに人工呼吸器管理が加わるのはもう無理だということで、退院し在宅に戻るのではなく、うちへ転院してくることを選んだのだ。 ある夜、夜勤中に痰の吸引をしていると患者が何か言いたげなので、透明文字盤を使って聞いてみると「

  • 値踏みする目線 : 漂流生活的看護記録

    考えるところあって、去年あたりからまた改めて看護学を勉強しなおすことになった。(それでこちらの方でまとまった文章をあまり書けなくなっていたのだが)その中で...考えるところあって、去年あたりからまた改めて看護学を勉強しなおすことになった。(それでこちらの方でまとまった文章をあまり書けなくなっていたのだが)その中で死生学を取ることになり、レポート作成のため必要になって今読んでいる資料に「ラモン・サンペドロの遺書(スペイン語)」というものがある。これは2004年のスペイン映画「Mar adentro」(邦題「海を飛ぶ夢」として日では2005年に公開)のモデルになった、スペインで最初に尊厳死を求めて訴えを起こした人物の遺言である。ラモンは25歳のとき海の事故で頸椎を損傷し、首から下が麻痺した状態で「29年4ヶ月と数日間」(遺書より)を生きた。わたしはその遺書を読みながら、あの話に似てるなあ、と

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    DrPooh 2012/09/17
    日常的に生命を値踏みしている(せざるを得ない)からこそ感じる「はしたない」という感覚。本間丈太郎先生の「おこがましい」にも通じるような。
  • 漂流生活的看護記録 : それで満足ですか?

    しぶしぶたたかうかんごふさん。わたしがまだ卒後5年目ぐらいの頃勤めていた病院に転院してきた、わたしと同い年の女性患者がいた。末期がんだった。もう何の手を打つでもなくなった段階で、苦痛の緩和をしながらゆっくり最期まで過ごしたいと人と家族が望んだので、それまで治療を受けていた都心の大きな病院から、何かあって電話すれば5分以内に駆けつけることができる近所にあるうちの病院に移ったのだということだった。入院からしばらくは意識も清明で、面会に来た友人たちと会話したり、家族がもってきた好きなものを少しずつべたりして穏やかに過ごしていた。わたしは同い年だったこともあって、子供の頃に見たTV番組や中高生の頃に流行ったものの話などをよくしていたように記憶している。ある雪が積もった日に「見たい」と言う彼女を、身を起こしただけでも骨転移であちこちの骨にひびが入るような状態だったので看護師3人がかりでベッドごと

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    DrPooh 2012/05/09
    『「死の場に対する敬意を持つ」こと、死にゆく人、その周りにいる人々の事情に思いを馳せること、自分がその場に踏み込むべき立場であるのか弁えること』…終末期以前からあるべきものなんだろう。
  • 漂流生活的看護記録 : 希望

    しぶしぶたたかうかんごふさん。栄養士をしていた母が「昔は看護婦さんが病棟で経管栄養の素をぬるま湯で溶かして調合してたもんよー、これが油臭くってねえ、とてもやないけど飲んでみようて気になれるもんやなかったわ」と言っていた。わたしが看護師になった10年前はまだ缶やアルミパウチに入った経管栄養をイリゲーターという吊り下げ式のボトルに入れて使っていたところもあったが、今はほとんどがこうした個別のパックになっていて、ディスポーザブルのルートを接続してぶら下げて胃ろうや経鼻胃チューブにつなぐだけのものが主流になっている。昔に比べれば味もずいぶん改良されていて、経口でそのまま飲めるぐらいのものもあるが、毎日これだけ多量の経管栄養を扱っているもので、調子の悪い日などはパックを開封したときに立ち上る甘ったるい匂いに胸がつかえる感じがすることがある、わたしにはどうも無理だ。 ケニアで一緒に働いていたデンマーク

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    DrPooh 2012/02/26
    『この国では絶対そうはならず、ただの医療費削減目的に決着するんだろうなとも思った』…残念ながらそんな感じがします。
  • 漂流生活的看護記録 : Why nurses eat their young

    しぶしぶたたかうかんごふさん。年末に帰国してきて以来、なんだかずっと体調がよくなかった。どこが痛いの具合が悪いのっていうわけじゃないんだけど、ずーっと回転が上がらないというか、すっきり動けない感じが続いていた。そのうちどうにかなるかなと思ってたんだけど、全くそういう気配もなく、さすがにこれはよくないよなと思い、最近になって(どんだけ放置w)ちょっとあれこれ検査してみたら、血中エストラジオールが12pg/mlだったことが判明。これは最近(かなり限られた範囲の)巷で話題になってた  更 年 期 障 害 で す か w とりあえず時期によって差が大きく出る項目なので、あと何回かは見ていかないとわかんないんだけど、これはある意味「オイシイかもしれん」と思ってしまったネタ体質なわたしってバカバカバカ!!! さて、更年期障害に「なる」というのを英語では「get」でも「turn」でも「become」でも

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    DrPooh 2011/12/14
    先輩のいじめで6割退職ってすごい世界だな。『怖さや厳しさについてはきちんと教える必要がある』わけで,お客さん扱いがいいとも思えないけれど。
  • 漂流生活的看護記録 : 皮一枚

    しぶしぶたたかうかんごふさん。(わたしが最高のメゾソプラノだと思っているのが去年5月に亡くなったアメリカの歌手シャーリー・ヴェレット。現在アイオワ大学で教鞭をとっているバスバリトン歌手のサイモン・エステス同様に彼女もまた黒人であることを理由にオペラ界で受けた数多くの差別について自伝の中で言及している。) 患者さんだけじゃなくてその家族と関わるのも仕事のうちではあるんだけど、面会に来た人の顔を見て、名乗られる前にどの部屋に案内すればいいのかすぐわかったり、「患者さんが立って歩いてる!」と一瞬勘違いしてドキッとするぐらいだったりというのを10年近く何度も見ているとしみじみ「やっぱ親子きょうだいって似るんだよなあ」と遺伝を実感することがよくある。自分が子どもの頃は、親戚や近所の人たちに親に似ていると言われてもどこが似ているのか全くわからなかった。鏡に映っているのはどう見ても自分の顔で、自分の顔の

  • 漂流生活的看護記録 : 「日常性」の力

    しぶしぶたたかうかんごふさん。ケニアに医療支援活動に行っていたときのこと。電気も水道もない村で現地家庭にホームステイし始めて一週間、不便な生活にはすぐ慣れた、体を洗うのにバケツに水を汲んで担いで帰り、その一杯の水だけで髪も体も全部洗うことも、日が落ちてしまってからは小さな石油ランプの明かり一つが頼りであることも、家の外にある鍵もドアもない掘っ立て小屋の中に穴を掘っただけのトイレも。しかしどうしても慣れることができなかったのは、どこへ行っても好奇の目でじろじろ見られることだった。なんせケニアの中でもかなりの僻地で外国人なんて誰も見慣れていないところに、新聞や雑誌でもあまり見ないアジア系の外国人である。(アジア系でもインド人なら佃煮にできるほどたくさんいたのだが)大げさな話ではなくわたしを見物するために村中から人が集まってきていたような状態だった。何もかも揃った先進国の病院から昨日今日いきなり

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    DrPooh 2011/04/06
    非日常のなかで「日常」を取り戻すため,あえて「ルール」を外すことの意味。
  • 漂流生活的看護記録 : ←今ここ

    しぶしぶたたかうかんごふさん。先週末20年来の友人の因業医者と事に行った時、彼が「こないだ総合診療科の先生がな『在宅や施設などから老人が不明熱で運ばれてきたら、まず背中から診る』って言うてたの聞いて愕然とした」と言うもので。「ああ、デクビ(褥瘡)できてるかどうか診るんでしょ?」と、すかさず答えたんだけど。まあこれは一般的な「色々みてますやってます」という市井の医療従事者のあたりではある程度の常識ではあるのだが、彼はいわゆる「高度先進医療」というものの一番先っぽの尖った所に立っている人なので、最近そういうの診ることもないんやろなー。 そうした患者が入院してきた場合、多くの病院で取り入れているDPC、包括的診療報酬制度だと、褥瘡ケアにかかる費用は所定点数内に含まれている。ついでに言うと最近の褥瘡ケアに使われる物品というのは決して安くはなくて、創部の肉芽形成を促進する作用のある外用薬は目薬みた

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    DrPooh 2011/02/25
    『「自分だってこんなに心配してるし大事にしてるんだからね!別に厄介払いで施設に入れたわけじゃないんだから!」というアピールのために介護者側を殊更に批難してみせるのは筋違いだと思う』
  • 漂流生活的看護記録 : 先にボケた者は幸せ、という嘘

    もうこれ以上働きたくない。ssd先生のところでこういう判決が出ましたよーという記事を読んで。ああやっぱりここまできたかと思ってしまったわけですな。以前にも身体抑制に関しては「防衛看護」で書いたことがあった。ここのところ抑制とは縁のない病棟で働いてはいるが、何年かこの仕事をしていれば誰でも突き当たる話ではあるし。 さて先日、同じように人手の足りない、内科病棟にヘルプに行ったら大認知症&不定愁訴祭り絶賛開催中でナースコールの嵐(泣)、盆暮れや連休のある時期にこういう状態になる(社会的入院が増える)のはどこの病院も似たようなもの。お預かり入院を受け入れているとはいえ、もちろん一般病棟であるから重症者もいてモニターのアラートも鳴り放題に鳴っている(大泣)。そういやちょっと前まではこういうところで働いていたんだなあ、としみじみ思い・・・出している暇なんかなかったなー。 夜勤者からの申し送りもすんで、

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    DrPooh 2008/10/01
    「効率化」と対極にある「治療的関わり」を導入できる余力は現場にあるのだろうか。
  • 漂流生活的看護記録 : どうか因果が巡りますように。

    もうこれ以上働きたくない。夜中に隣の老人ホームから脱水だとかで緊急入院してきた87歳の患者(もちろんバリバリのデメンツ入り)にルート取ろうとしたら「殺す気か!」と大絶叫されたうえにがっぷり手に噛みつかれた。自前の歯が残ってる高齢者って、たいがい凶器みたいなギチャギチャの歯並びだったりするのよねえ。(日の高齢者の歯のひどさは世界トップレベルだと思う、あと同立一位で中国ね) いや我々としては殺す気もなんも毛頭ないんですけれどもー、なんか周辺はそうでもない流れになってきているようですよー。           / ,. -、`r― 、`ヽ、               _,イ   ヤ┴┴- 、\ ヒー 、_           r'/ /   |     ヽ. ヽ∨ ノYi、         { |  | イ / /     ヽ イ     ソ 日の老人の皆さん、         i_∨ !

    DrPooh
    DrPooh 2008/02/22
    「医療を「消費」しているのは老人本人ではない。今それをしているのは彼らの子ども達、団塊の世代」。そして因果は巡る。
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