ある若い男性が自らの暗い経験を次のように記述している。 「人類から切り離されて、宇宙でひとりぼっちのように感じる……自分が存在しているのかどうかさえわからない……みんなは花の一部なのに、僕は未だに根っこの一部だ」(p133) 先日、わたしは とある講演の中で、性的虐待のサバイバーである女性のエピソードについて話されるのを聞き、戸惑いと違和感を覚えました。 講師は、その女性が自殺衝動と闘いながらひたむきに生き抜いていることに触れ、わたしたちはみな、こうした憂鬱な気分や苦悩に見舞われるとしても、それを乗り越えていくことができる、と聴衆を励ましていました。 確かに勇気づけられるエピソードかもしれません。しかし、わたしはその話に困惑して、同意も共感もできませんでした。 性的虐待をはじめ、子ども虐待のサバイバーが感じる苦悩は、多くの人がふだんの生活の中で感じる憂うつさや不安とは、あまりに異質で種類の