魔界チュートリアル1 魔界の食べ物はけったいだ。流動食を練ってもう一度固めたような、なんだ、これは一体なんなのだ。 「魔界には肉食の文化がありませんー。自然界がはなからエネルギー問題を克服してるので、放っといても消費される以上の栄養を供給してくれるのです。ユートピアですね。だから魔界と書いてディストピアとルビを振ります。円熟に満たされし場所こそが生命の隘路にして終点と心得よ! ずべし!」 一城の魔王であるところの妙ちくりんな小娘が得意げに語る。 「知らんがな」 フォークらしき三叉の食器で突き刺して、そのゼリー状の物体を持ち上げてみる。 「……黄色い粘液……」 正直言ってお腹が痛い。 「味も食感も悪くないと思うんですけどね。もっちゃもっちゃ」 「あんたは行儀が悪い」 「魔界においてテーブルマナーは悪徳と知れ! いえ適当言いました。さて、それでは腹ごしらえしながら魔王ワレリィ様の魔界チュートリ