脇役から徐々に頭角を現し、『仁義なき戦い』シリーズへの出演で、押しも押されぬ東映の大スターとなった菅原文太氏。数々の映画ファンを魅了した男の意外な素顔、大ヒット作の舞台裏、そして揺れ動いていた心中とは……。 ここでは作家の松田美智子氏の著書『仁義なき戦い 菅原文太伝』(新潮社)の一部を抜粋。関係者の証言をもとに、在りし日の菅原文太伝説を振り返る。(全2回の1回目/後編を読む) マイペースの頑固者 『仁義なき戦い 代理戦争』の公開を終えたあたりから、文太の身辺が慌ただしくなってきた。 まず、シリーズの成功を受けて、取材の申し込みが殺到し、マスコミへの露出がかつてないほど増えた。著名人との対談も、短期間に数多くこなしている。付き人も、最初は1人だけだったが、数人抱えるようになった。 また、1作目は200万円だった出演料が倍近くになり、100万円の大入り袋もなんどか受け取っている。公務員の初任給