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ブックマーク / www.ele-king.net (15)

  • RIP David Bowie | ele-king

    英国に止まない雨が降った朝文:ブレイディみかこ ある雑誌の企画で「いま一番聴いている5曲」という調査に参加することになり、アンケート用紙に記入してメールした後、酒を飲みながらボウイの新譜を聴いていた。 「いま一番聴いている5曲」の中にも、『Blackstar』収録の” 'Tis a Pity She Was a Whore”を入れた。過去と現在の音をカクテルにしてぐいぐいかき混ぜながら、確かに前進していると思える力強さがある。みたいなことをアンケートには書いておいた。 そして新譜を聴きながらわたしは眠った。 が、朝5時に目が覚めてしまった。 まるで天上から誰かが巨大なバケツで水をぶちまけているかのような雨が降っていたからだ。雨の音で目が覚めるというのはそうある話ではない。こんな怒涛のような雨が降り続いたら、うちのような安普請の家は破れるんじゃないかと気で思った。妙に真っ暗で、異様なほどけ

    RIP David Bowie | ele-king
    FUKAMACHI
    FUKAMACHI 2016/01/12
    ブレイディみかこ氏の追悼文がとりわけうまい。最新のボウイが目指していたものについて。
  • 第31回:音楽とポリティクス | ele-king

    「投票は想像力のない人間がすることだ。それは自分たちとは異なる世代のためのものであり、そんなものでは何も達成できない」 ザ・ホラーズのファリス・バッドワンは総選挙前にそう言った。 UKには、保守党政権を潰すチャンスがあればオルタナティヴ・ロックと呼ばれるジャンルのアーティストたちが立ち上がる伝統があった。が、ヤング・ファーザーズ、スリーフォード・モッズ、エンター・シカリ、ジ・エネミーなどの一部の例外を除き、5月の選挙ではいわゆるオルタナとかインディーとか呼ばれるジャンルのスターたちは口を閉ざしていた。日には伝わってなかったかもしれないが、英国では「歴史に残る右派と左派の接戦になる」と大騒ぎになっていたのである。ここまで盛り上がったらさすがに『NME』も何かやるかな。と思ったが、業務平常どおりだった。どうやらもう、UKロックは政治には触れないものになった。ということで確定のようだ。 現代の

    第31回:音楽とポリティクス | ele-king
    FUKAMACHI
    FUKAMACHI 2015/07/02
    英国もすごいな「これ以上配る食い物がない。リサイクルの子供服が圧倒的に足りない。センター玄関の軒下で寝ている人たちには帰る家がない。とにかく、「ない」のだ。80年代どころかこれはディケンズの時代である」
  • 第28回:ザット・チャーミング・マン | ele-king

    20年近くも前の話になる。 Tを知ってまず驚いたのは、「Tの部屋。ノックしてね」のドアプレートだった。子供部屋ならいざ知らず、老いた母親と2人暮らしのおっさんがメルヘンチックなイラストのあしらわれた木製プレートを自室の前にかけていたので、それを見た瞬間、わたしは何か人生のダークサイドを覗いたような気分になった。 Tはまともな仕事に就いたことがなかった。若い頃から失業保険や生活保護で暮らし、半引きこもりのようになっている間に太って心臓を患ったり、糖尿病にかかったり、腰を悪くしたりして障碍者手当を受けるようになった。そもそも、Tはパニック障害で飛行機に乗れないので旅行をするわけでもなかったし、女性と交際・結婚するなんてこともないし、酒も煙草も賭け事もしなかったので、生活する上でそんなに金はいらなかったのだ。彼の楽しみと言えば近所のパブで日替わりのセットランチべること(必ず行く前に電話して

    第28回:ザット・チャーミング・マン | ele-king
    FUKAMACHI
    FUKAMACHI 2015/04/01
    うまい。
  • 第26回:JE SUIS 移民 | ele-king

    なかなか慌ただしい年の初めだった。 昨年末から、連合いの姉たちと交代でアイルランドの姑の介護をしていて、正月はわたしの番だったので姑と一緒に新年を迎えたのだが、帰国した数日後に姑が他界した。で、またアイルランドにUターンすることになったのである。 姑はアイルランドの田舎の小さな村に住んでいた。夫が亡くなるまではロンドンに住んでいたが、未亡人になるとすぐアイルランドに戻った。「黒い肌や茶色い肌の強盗だらけ」のロンドンは大嫌いだったそうで、そんな彼女だから、連合いが東洋人の嫁を貰ったときもネガティヴな反応を示した。姑と舅がロンドンに渡ったのは1950年代で、英国では「犬と黒人とアイルランド人はお断り」などと言われた時代だ。アイリッシュ労働者の家庭も差別されたんだろうが、姑は有色人を自分たちのさらに下に位置する者と思っていた。アイルランドの緑の大地を愛した姑は、ロンドンの喧噪や地下鉄や細い路地を

    第26回:JE SUIS 移民 | ele-king
    FUKAMACHI
    FUKAMACHI 2015/01/26
    おもしろい。しかしとても苦い話だ。
  • 第25回:シャンパンと糞尿 | ele-king

    「なぜ革命について語るのがミュージシャンではなく、コメディアンになったのか」 という見出しがガーディアン紙に出ていた。 「レヴォリューション」という言葉を今年の英国の流行語にしたのはコメディアンのラッセル・ブランドだ。 当該記事の主旨はこうである。 「緊縮財政で庶民の怒りが頂点に達している時に、その声を代弁しているミュージシャンがいない。伝統的にその役割を果たしてきたのは音楽界のアイコンだったのに、現代ではそれがコメディアンになっている。何故なのだろう?」 ほおーん。と思った。 音楽界にも緊縮財政への疑念を表明している人びとはいるからだ。 福祉削減になると人々が匂い出す場所じゃ 人は臭い(“McFlurry”) 2014年のUKヒットチャートに入っているアーティストの80%以上は私立校出身の富裕層の子女だそうだ(80年代はわずか10%だったという)。大学や専門学校に進む(つまり、日々の労働

    第25回:シャンパンと糞尿 | ele-king
    FUKAMACHI
    FUKAMACHI 2014/12/17
    おもしろい。
  • 第23回:ソーシャル・レイシズム | ele-king

    「ソーリダリティ、フォエーーヴァー、ソーリダリティ、フォエーーヴァー」 という1915年に書かれた労働者のアンセムで『Pride』は始まる。 『Pride』という英国映画は、炭鉱労働者が一年にわたってストライキを繰り広げた84年から85年を舞台にしている。ストで収入がなくなった炭鉱労働者とその家族を経済的に支援するためにロンドンの同性愛者グループが立ち上がり、GLSM(Gays and Lesbians Support Minors)という組織を結成して炭鉱コミュニティーに資金を送り続けるというストーリーで、英国の中高年はみんな知っている実話でもある。 ************* 少し前、職場でちょっとした事件があった。 というか、地元のメディアに報道されたりしたので、「ちょっとした」という表現は適切でないかもしれない。 保育士という仕事には怖い側面がある。 子供からあることないこと言われ

    第23回:ソーシャル・レイシズム | ele-king
    FUKAMACHI
    FUKAMACHI 2014/10/07
    イギリス社会の暗闇が見えて、毎度のことながらおもしろい。苦い話。
  • 第22回:フットボールとソリダリティー | ele-king

    夏休みにうちの息子を初めてフットボール・コースに通わせた。 これはブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFCという地域のクラブが運営している小学生向けのコースで、夏休みとかイースター休みとかには必ずやっているのだが、働く親には送り迎えがたいへん不便な時間帯に行われているので、これまでうちの息子は通えなかったのである。 が、今年はどうにか送り迎えの都合がつくことになり、フットボール狂のうちの息子は喜び勇んでコースに行ったのだが、初日からどんよりした顔つきで帰って来た。 「どうしたの」 「ジャパーンはシットだって言われた」 ああ。と思った。グラウンドに彼を送って行ったときに、それはちょっと思ったのである。子供たちのほとんどは、ブライトン・アンド・ホーヴのキットを着ていた。地元クラブ運営のコースなので当前である。少数派として、チェルシーやマンUなどの定番人気クラブのキットを着ている少年たちもいた

    第22回:フットボールとソリダリティー | ele-king
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    FUKAMACHI 2014/08/27
    おもしろい。
  • 第20回:ヤジとDVとジョン・レノン | ele-king

    先日、通勤バスの中で新聞を広げていると祖国の話題が出ていた。東京都議会で女性議員に対して性差別的なヤジが飛び、国内で大きな話題になっているという。『ガーディアン』紙のその記事は、日男女平等指数ランキングで常に下位にランクされている国であることを指摘し、ジェンダー問題の後進国だと書いていた。まあ、ありがちな「東洋は遅れてる」目線の批判的な内容である。 こういう記事が出ると、「女性が強い英国では絶対にあり得ない」「アンビリーバブル」みたいなことを英国在住日人の皆さんがまた盛んに言い出すんだろうな。と思った。わたしも10年前ならそう思っていた。 が、今はそうは思わない。 ****** BBC3で『Murdered By My Boyfriend』というドラマが放送されてちょっとした話題になった。「恋人に殺された」というタイトルの当該ドラマは、パートナーの青年にDVを受け続けて最後には亡くな

    第20回:ヤジとDVとジョン・レノン | ele-king
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    FUKAMACHI 2014/07/05
    ため息がでるほどおもしろい。
  • 第19回:ウヨクとモリッシーとサヨク | ele-king

    「俺、UKIP支持に回るかも」 と隣家の息子が漏らしていたというのは数カ月前に書いた話だ。 リベラルでお洒落なゲイ街にはレインボウ・フラッグがはためいているが、貧民街の家々には聖ジョージの旗が掲げてあり、それはまるで、もはや「自分はイングリッシュである」ということしか誇るものがなくなった白屑(ホワイト・トラッシュ)の最後の砦のようだ。と書いたのは一昨年の話だ。 つまり、ずっと前から予感はあった。 5月23日のEU議会選(地方選とセットで行われた地域もある。ブライトンはEU議会選オンリーだった)が近づくと、それは一気に明らかになった。貧民街の家々の窓に右翼政党「UKIP」支持のステッカーが貼られ始めたのだ。だいたい貧民街では選挙前に政党のステッカー貼ってる人なんていなかった。ミドルクラスなエリアに行くと緑の党や労働党のステッカーが貼られていて、玄関先にフラワーバスケットが下がっているようなお

    第19回:ウヨクとモリッシーとサヨク | ele-king
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    FUKAMACHI 2014/06/03
  • 第18回:移民ポルノ | ele-king

    4月前半は日に帰省していた。 中国方面から飛来するというPM2.5の影響で、霧深い英国かと見まがうほど白く煙った福岡の街はなんとも不気味だった。大気を舞う微小粒子物質のため、まったく遠くの山が見えない。晴れているのに空が青くない。というのは、灰色の空の国に住む人間からしても気色が悪い。免疫のない人間はてきめんにやられるのだろう。咳が止まらない&偏頭痛で体調が悪いので早く英国に帰りたかったというのは今回が初めてだ。 近所のてんぷら屋で飲んでいて反中思想のおっさんに絡まれた時にも、歴史やモラル、マナーといったようなことを云々と並べておられたが、ほんなことを延々と愚図るより、今の福岡なら「中国PM2.5を飛来させやがるので嫌いだ」と言ったほうがよっぽど切実である。 「いやー、けど日だって高度成長期にはいろいろ飛ばしてたんだろうし」 と言うと、酔ったおっさんは言った。 「いや、日の場合は風

    第18回:移民ポルノ | ele-king
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    FUKAMACHI 2014/05/29
    じつにおもしろい。
  • 第17回:淫らなほどキャピタリスト。の時代 | ele-king

    のフットボールクラブのサポーターが「Japanese Only」と書かれた横断幕をスタジアムに掲げて問題になったという。 日韓共同開催W杯のときに日に行った英国人にその話をすると、「あのときも日の飲店には『Japanese Only』と書いた紙を貼っている店があった」という。あの「Japanese Only」も、当時UKではちょっとした話題になった。日人の排外主義は甚だしいと憤った人もいた。が、実際には日の飲店には英語を喋れる店員が少なく、海外発行のクレジットカードやデビッドカードが使えないから、会計時に揉め事になるとややこしいと思った飲店主たちが「Japanese Only」の札を掲げていた。という日側の理由が説明されると、なんとなく辺境の国ふしぎ話になって終わった。 が、今回の「Japanese Only」はちょっと違う。そもそも、Jリーグなんてのは、発足当時を知る

    第17回:淫らなほどキャピタリスト。の時代 | ele-king
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    FUKAMACHI 2014/04/01
    とてもとてもおもしろい。
  • 貧困ポルノ | Benefits Street | ele-king:アナキズム・イン・ザ・UK 第16回

    今年の英国は、年頭からC4の『Benefits Street』という番組が大きな話題になった。 これは生活保護受給者が多く居住するバーミンガムのジェイムズ・ターナー・ストリートの住人を追ったドキュメンタリーである。が、ブロークン・ブリテンは英国では目新しくも何ともない問題なので、個人的には「なんで今さら」と思った。日人のわたしでさえ何年も前からあの世界について書いてきた(その結果、まで出た)のだ。UKのアンダークラスは今世紀初頭から議論され尽くしてきたネタである。 が、この番組で英国は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。デイヴィッド・キャメロン首相から『ザ・サン』紙まで、国中がこの番組について語っていた。よく考えてみれば、一部のコメディや映画を除き、あの世界を取り上げた映像は存在しなかったのである。 なるほど。アンダークラスは当に英国の蜂の巣だった。というか、パンドラの箱だったのであ

    貧困ポルノ | Benefits Street | ele-king:アナキズム・イン・ザ・UK 第16回
    FUKAMACHI
    FUKAMACHI 2014/02/26
    とてもおもしろい。
  • 第11回:RISE(出世・アンガー・蜂起) | ele-king

    一気に夏になったブライトンで、わたしの週末を支配しているのが、息子の友だちのバースデイ・パーティ・ラッシュである。 夏のあいだに誕生日を迎える子供たちの親が、学期中にパーティを終わらせようとするので、土曜の朝はこっちのパーティ、午後はあそこのパーティで日曜もまたパーティ。といった按配だ。英国人のパーティ文化は、幼少の頃のバースデイ・パーティではじまる。わたしの周囲でいまいちばんパーティ・アニマルなのは、ゲイの同僚とうちの6歳の息子だ。 しかし、このパーティにしろ、すべての子供たちが開くわけではない。息子の学校は、富裕区と貧民区とのふたつの教区合併の形で作られたカトリック校であり、公立校にしては子供たちの家庭の階級に幅がある。とはいえ、日曜毎に教会に通っているようなカトリック信者は、裕福な教区の方が絶対的に多いので、ポッシュ派がマジョリティだ。で、趣向を凝らしたパーティを開くのはこの層の方々

    第11回:RISE(出世・アンガー・蜂起) | ele-king
    FUKAMACHI
    FUKAMACHI 2013/07/25
    このシリーズとてもおもしろいが、今回はさらに強烈にして悲痛。
  • 第8回:墓に唾をかけるな | ele-king

    その日、わたしは街の裏通りにある小さなパブで、仕事帰りに人と会う約束をしていた。 そこは薄暗く古いパブで、流行のワインなどを飲ませる小奇麗なパブではない。窓際には年季の入ったスヌーカー・テーブルがあり、カウンター上方のフラット・スクリーンではない分厚いテレビはいつもフットボールの試合を映している。が、その日、パブに着いてみれば、なぜかテレビはBBCニュースを映していた。 「え。サッチャー、死んだの?」 と吃驚しているわたしの背後から入って来た、塗装業者らしいペンキで汚れたバギー・ジーンズのおっさんは、テレビに映し出された「Baroness Thatcher Died」のヘッドラインを読むなり、おもむろに両手でガッツ・ポーズを取った。 「YES!!」 PCの前に座って仕事をしている階級の人びとはもっと早く訃報を知ったのだろうが、ブルーカラーの労働者が彼女の死を知ったのは夕方だったのである。ん

    第8回:墓に唾をかけるな | ele-king
    FUKAMACHI
    FUKAMACHI 2013/04/16
    これはじつに興味深い。でもおれは人間ができてねえから、クソみたいな政治家が死んだら大笑いして踊る。
  • 第6回:アナキーな、あまりにアナキーな(現実) | ele-king

    「ローマ教皇がやめるんだってさ」とわたしが言うと、 「そら、よっぽどヤバイことが明るみに出るんだろうな。これから」と連合いは言った。 先週、アイリッシュ系のご家庭では、わりとこういう会話が交わされたのではないだろうか。 「聞いた? 教皇のニュース」とわたしが言うと、 「まるで『Father Ted』のネタみたいだよね。リタイアした教皇が、プールサイドに寝そべって、ビキニ姿の女の子たちを回りにはべらせてたりしそう、あの番組だったら」 と、あるダブリン出身の女性は言った。 『Father Ted』というのは、英国C4が誇るカルト・コメディであり、アイルランドに住むカトリック聖職者たちの日常を辛らつにおちょくったシットコムだ。90年代に制作された番組だが、実に先鋭的で、あれを見ていると、あの国の聖職者たちはみなアイリッシュ・マフィアのようである。 その内容があまりに過激なため、当初アイルランドで

    第6回:アナキーな、あまりにアナキーな(現実) | ele-king
    FUKAMACHI
    FUKAMACHI 2013/02/23
    興味深い。
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