「匹」という漢字は、ふたつのものが対(つい)になっているものを表します。例えば、織物2反で「1匹」と数えたり、「匹敵」といえば、2つのものが互角であることを表します。なぜ動物を数えるのに対になっているものを表す「匹」を使うのでしょうか。 昔、人間にとって最も身近で生活に欠かせない動物(家畜)は馬でした。荷車を引かせたり、農耕をさせたり、人間はいつも馬の背後からその姿を見てきました。当然、馬の尻を見つめる機会も多かったため、馬の尻(しり)が2つに割れていることがイメージとして強く焼きつき、2つに割れた尻の対を持つもの、そして綱(つな)に繋(つな)いで“引く”動物、という意味ともあわせ、馬を「匹」で数えました。『源氏物語』や『今昔物語集』にも馬を「匹」で数える用例が見られます。そこから、「匹」は馬だけでなく、広く生き物を数えるのに用いられるようになりました。 一方、大形の動物を数える「頭」の歴