11月22日の毎日新聞「記者の目」は「歴史家・網野善彦氏が残したもの」という題で栗原俊雄(学芸部)記者が書いている。それによると、「取材で知ったのは、網野氏に対して冷淡な研究者が多いということだ。ある教授は「大学院生には、少なくとも今は、網野さんの引用はやめた方がいい、と言っています。それだけで妙な先入観を持たれますから」。網野氏のもともとの専門は中世だったが、古代から近現代まで幅広く発言し、論述するようになるにつれ、批判も多く受けた。「実証性が乏しい」「空想的浪漫主義」とさえ断じた研究者もいる。」というのである。 故網野さんが異端視されていたことは知っていたが、今もって批判されているとは意外であった。特に彼の代表的な研究「無縁・公界・楽」を読んだときの衝撃は忘れられない。小生も、書評 のなかで、「網野さんの考え、いわゆる「網野史観」は今まで歴史の前面に出なかった人間に焦点をあて、中世にも