私が朝日新聞で仕事をしながらファッションを取材し始めたのは1970年代の後半だった。当時はファッションというと「女、子供のおしゃれの話」と敬遠されて、せいぜい家庭欄で「今年はスカート丈がもっと短くなる」などと紹介される程度。だが、世界的には米国でウーマンリブ活動が全盛となり、女性のライフスタイルや、経済・文化・社会風俗としてもファッションが盛り上がっていく面白い時代だった。あれから50年、ファッションは変容し、常識は覆され、タブーは取り払われ、ファッションはついに家庭欄を飛び出し一面を飾るようになった。 「小皿帽」は美智子さまの代名詞 ©時事通信社 そんな時代のうねりの中で、常に格調高く、日本の美を世界に向けて表現してきたのが、「皇室ファッション」だ。多くの女性が憧れるこの日本独特のジャンルを確立したのが、上皇后・美智子さまであるのは論を俟たない。 「あのかたの感性は一種独特なので、予想が