中京大学スポーツ科学部教授で、東京2020の組織委理事も務めた來田享子(らいた・きょうこ)さんは森氏の失言によって「かつてない現象が起きた」と語る。いったいそれはどういうものなのか。そして、東京2020は私たち日本人に何を残したのだろうか。あらためて考えてみたい。 ◆◆◆ 各国の五輪ボイコットの可能性まで考えた ――來田さんが組織委理事に選ばれたのは、2月3日に森元組織委会長が、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と発言して騒動になった後、橋本聖子さんが会長に就任して女性理事を大幅に増やしたタイミングでした。まず、あのニュースを見てどう感じましたか。 ©文藝春秋 「森さんの発言については当日の夜ニュースで知りました。あ、と思って、こういうこと言っちゃったのかって。オリンピックでこの発言はやはりまずいよなと。世界からボイコットされる要因にならなければいいなと直感的に思いました」