検察庁法改正/一度白紙に戻して出直せ 政府、与党がもくろむように法案の早期成立を許せば、法治国家の存在意義が根本から問われかねない。 検察官の定年を延長する検察庁法改正案である。衆院内閣委員会で審議されている。改正案は検察官の定年の63歳から65歳への引き上げと、検事長などの検察幹部が63歳で一般の検事となる「役職定年制」が柱だ。この点には野党も理解を示している。 問題なのは、内閣が認めれば役職定年の延長を可能としていることだ。 検察は刑事事件の捜査、起訴の権限を与えられている。行政府の一部でありながら、必要であれば「首相も逮捕できる」という高い独立性を保ってきた。時の政権の意向で人事が左右されるようになれば、独立性や中立性が侵される危険性をはらむ。 そもそも昨年秋の段階でまとめた改正案には、役職定年延長の部分はなかったという。それが今年になって付け加えられた。 政府は検察官に定年延長を適