先日の「つぶやき」で、ポリメラーゼで高精度複製可能な人工DNA塩基対の創製と、天然を凌駕する人工核酸アプタマーの創製に関する研究をご紹介しました。いずれも『DNA塩基の種類を増やすことで、自然界に無い機能拡張を行える』という仮説に端を発した取り組みです。 とはいえ、これらのお話は全て試験管内(in vitro)で行われたもの。次なる目標は、いよいよ生命体内部(in vivo)で人工DNAの複製を行わせることにあります。 このたび米国スクリプス研究所・Romesberg率いる研究チームが、人工塩基対含有DNAを複製可能とする大腸菌の創製に成功し、見事Nature掲載の栄誉を獲得しました[1]。 世界最先端で繰り広げられる競争 以前紹介した平尾グループと今回の主役・Romesbergグループは、いずれも高性能な人工塩基対を独自開発しています。 Romesbergらの開発したd5SICS-dNa