忘れてしまいたい恥ずかしい思い出や、辛い経験はきっと誰にでもあるだろう。それを忘れることができたら、どんなに楽に生きていけることか……。不要な情報を脳内からサクっと削除できないというのは、実に歯がゆいものだ。 しかし、このたびスウェーデンの心理学者が発表した研究レポートによると、私たちは忘れてしまいたい記憶を抑圧することで、意図的に忘れることができるようになるという。 「抑圧」というのは、20世紀初頭に精神分析学者フロイトが提唱した概念で、「望まない記憶を無意識へと追いやることによって、それが忘れられるという過程」だ。以来、科学者たちの間でずっと議論の的となってきた。 このたびスウェーデン・ルンド大学のゲルト・ワルトハウザー教授は、被験者に脳波測定装置をつけた状態で抑圧の効果を実験した。実験は「think / no-thinkパラダイム」というもので、その手順はざっと次の通りだ。 1: