ブックマーク / keiseiryoku.hatenablog.com (15)

  • 数珠繋ぎのメモ帳 『嵐が丘』の実況録 - 備忘録の集積

    おおエミリー 数多の先達が血肉や魂で作ったというのに そなたはそれを骨で成したのか 開幕自作ポエムですみません。 今回も『嵐が丘』です。 岩波文庫から出ている河島弘美訳をはじめて読んだときに一章ごとにメモを取っていたので、それをまとめて今回のエントリとしました。 なにぶん、もとがメモなので、文章に脈絡がないこともしばしばあります。異様に興奮していて支離滅裂な主張をしている箇所もあります。気が付いたときにはポエムができていた、なんてこともありました。需要はないでしょうし、始まる前から終わっている企画です。そもそも他者へ何かを伝えようとする文章ではありません。ナマの感想、呟き、独白の垂れ流し……。体裁のとれていない数珠繋ぎのメモ帳です。 −−−−−−−−−− Emily Bronte 著 『嵐が丘(WUTHERING HEIGHTS)』――エミリー唯一の小説作品にして世界的名作の一つ。二つの家

    数珠繋ぎのメモ帳 『嵐が丘』の実況録 - 備忘録の集積
    GuriGura
    GuriGura 2013/07/26
    「なにせキャサリンという名前ひとつをとってみてもキャサリン・アーンショウ、キャサリン・リントン、キャサリン・ヒースクリフ……誰が誰やら……」
  • 雲の上に王国を描く偉大な精神に惹かれて - 備忘録の集積

    嵐が丘(上) (岩波文庫)posted with amazlet at 13.07.14エミリー・ブロンテ 岩波書店 売り上げランキング: 42,287 Amazon.co.jpで詳細を見る 嵐が丘〈下〉 (岩波文庫)posted with amazlet at 13.07.14エミリー ブロンテ 岩波書店 売り上げランキング: 43,498 Amazon.co.jpで詳細を見る 私が『嵐が丘』に引きつけられた最初の要素は、今も私をかの名作に引きつけ続けている要素のもっとも具体的な要素であった。どのような作品も読み始める際は読むに値する書物かどうかいくらかの不安を負っているものであるが、その不安を無に帰し、後はただ読むだけ、転がり続けるだけという下り坂に入る始めの場所――先に述べた最初の要素とは、かような意味で使っている。 それはすなわち偉大な時代のことである。偉大な、子供の時代。キャサリ

    雲の上に王国を描く偉大な精神に惹かれて - 備忘録の集積
    GuriGura
    GuriGura 2013/07/17
    嵐が丘
  • レトリック感覚 自分用まとめ - 備忘録の集積

    書評に類するブログ記事を書くということは、 その書物を二度読むということであった。 直喩だとか隠喩だとかいったレトリックの名称それ自体は中学・高校の国語の授業で習うものだし、国語便覧を繙けば必ずまとめられている。(手元の『最新国語便覧』では「効果的な表現」に修辞法が紹介されている。目次には「レトリック」「修辞」の文字は一切ない) しかし、それにも関わらず、直喩と隠喩の両者に当に差があるのか疑問に思うことがあった。機械的に判別するなら「〜ようだ」のつく方が直喩で、「〜ようだ」がつかない方が隠喩なのだが、それでまさか納得できるはずもない。「ようだ」があってもなくても文意が通るとすれば、直喩と隠喩を使い分ける意味など無くなってしまう。ヨーダは戦犯か否か。もちろん、そんなことは誰もいっていない。両者のニュアンスが異なっていることぐらい日語のネイティブなのだから分かる。分かるのだが……では違いは

    GuriGura
    GuriGura 2013/02/27
    佐藤信夫『レトリック感覚』のまとめ。こうして考えてみると凄く面白い
  • 数の抽象性とか かけ算の順序とか - 備忘録の集積

    かけ算の順序について、 結構前から話題になっている。 ブクマ巡りをしていても頻繁に目にする。 僕自身はこの話題について積極的な言及は控えてきた。 さわらぬ数学(算数だが)に祟りなし……である。 しかし、どういうわけかつい最近思い出したのだ、ずっと前に数に関するお話を余所で書いたことに。 「では、レティシャちゃん、全部で何羽の鳥がいますか?」 と、ミサは問いかけた。 質問を受けたレティシャは、元気に答えた。 「ガアガアさんが2匹と、コケッコッコーが3匹と、カルガモが1匹!」 (中略) 「全部で何羽の鳥がいる?」 「アヒルさんが――」 「アヒルさんもニワトリさんも、カルガモさんも、全部あわせて何羽いる? 鳥は、何羽、いるかしら?」 レティシャは目をぱちくりとさせて、ああ、なるほど、分かった! と、目を輝かせると、 「ニワトリが3羽、アヒルが2羽、カルガモが1羽!」 数が多い順に並べ直すことが、

    数の抽象性とか かけ算の順序とか - 備忘録の集積
    GuriGura
    GuriGura 2013/01/06
    「答えはすべて「5」だった。忠実に例に従って回答したまでのこと。子供の素直さなめんなよ!」
  • 失笑 - 備忘録の集積

    ここのところブログの更新をしていなかったようだから更新しようと思いたった。 ところで自分のブログに対して《更新していなかったようだ》と推量を用いるのは妙な気もする。自分のブログであるしウェブ上の履歴であるから即座に確認できる。さらには大雑把に二ヶ月間ほど更新していなかった事実は記憶に留めた上での発言である。なにが《ようだ》だろう。 しかしブログには更新した気がするエントリとそうでないエントリの二つがあるという話をすれば、私の感じ方も少しは理解して頂けるのではないか。 前回の記事は会話主体のちょっとフォローしかねる小説であるし、その前は二度にわたって『人生論ノート』の講釈――しかもちっとも専門的ではなくって高校生の私自身を読者として想定している――である。こういったエントリはなんというかブログを更新したという気分とはまた別の気分がある。更に遡ると「近くて遠い二人の距離を」と題された記事があり

    失笑 - 備忘録の集積
    GuriGura
    GuriGura 2012/10/02
    誤用を押す場合と押さない場合があるという話。関係ないけど、誤用学者とかだと嫌ですね。
  • 『人生論ノート』――虚栄について - 備忘録の集積

    ▼p39 虚栄は人間の存在そのものである。人間は虚栄によって生きている。虚栄はあらゆる人間的なもののうち最も人間的なものである。 三木清『人生論ノート』 五つめの章――虚栄について 人生論ノート (新潮文庫)posted with amazlet at 12.07.01三木 清 新潮社 売り上げランキング: 30408 Amazon.co.jp で詳細を見る さて、いよいよ「虚栄について」であります。 この章は他の章に比べ抜きん出て興味深いといいますか、人間的であることのなんたるかを説いていて、いかにも三木清的であります。 虚栄―― つまり、自分を来の姿以上に大きく見せようとする、あの厄介な人間的性質のことです。 見栄というやつです。 私がこうして『人生論ノート』のエントリを書いているのも、虚栄心によるところが大きいのです。専門家でも何でもないのに、私は知っているとばかり教鞭を振るうその

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  • 近代リアリズムの発生について - 備忘録の集積

    中村光夫の『風俗小説論』の二周目を終えたので、私的メモ――まさに備忘録的な――としてエントリをあげます。 ※注意点 ・全4回のエントリ ・私(ブログ主)は日文学に疎い。*1 ・『風俗小説論』の最後で語られる作家 丹羽文雄 についての一連の批評は氏の著作を読んだことがないため理解できなかったのでざっくりと割愛*2。 ・基的に私的メモ*3。他者に語りかけるような文章は仕様です。 ・引用部分の前に引用元の頁数を記載します。また、《》は書からの引用を意味します。 風俗小説論 (講談社文芸文庫)posted with amazlet at 12.04.23中村 光夫 講談社 売り上げランキング: 210777 Amazon.co.jp で詳細を見る 書は中村 光夫(1911〜1988年)による私小説批判を中心とした評論。「私小説が日小説を駄目にした」という説を聞いたことがあったが、書が

    近代リアリズムの発生について - 備忘録の集積
  • 子供を笑顔にする魔法の言葉 - 備忘録の集積

    登場人物 ミスリィー 19歳 レイラ   8歳 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「ねえ、ミスリィー、ミスリィー」 部屋に駆け込んで来たレイラは、ただいまをさしおいて執拗にミスリィーの注意を引いた。 「外から帰ってきたなら手を洗いなさいよ」 「うん!」 レイラは流し台で手を洗いながらも喋るのを止めなかった。「あのね、どうしてウンコには緑色のと、黄色いのと、茶色いのがあるか、知ってる?」 「……知らないわ」 真面目に取り合うのも面倒くさかったミスリィーは聞き流しの態勢に入っていた。 「えっ、知らないの? あちゃー」 えっ、と大袈裟に驚いて口元に手を当てたり、その手を額に移してはアチャーと呟いて首を横に振る。恐らく、嘲笑的な仕草として最近 子供達の間で流行っているのだろう。少し前までは目を必要以上に見開いて頓狂な声で驚きながら顔を横に振る(振るというか、震えさせる)仕草が流行

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    GuriGura 2012/03/19
    実際は大人が笑顔になります
  • 格闘漫画における猪木――生野勘助 - 備忘録の集積

    『格闘漫画における猪木』という題名でエントリをいくつか書こうかなと思っていたが、Wikipediaで前調査をしてみると、これが意外に多かった。 猪木をモデルとした架空の人物・キャラクター マンガ・小説 国会議員(浦安鉄筋家族) グレート巽(餓狼伝) 猪狩完至(グラップラー刃牙) アイアン木場(高校鉄拳伝タフ) 金小路鉄男(The・かぼちゃワイン) グレートニオ猪地(マーダーライセンス牙) 生野勘助(喧嘩商売) アドニオン諸(頑丈人間スパルタカス) ▲アントニオ猪木 - Wikipedia 多いばかりか、知っているのがグレート巽、猪狩完至、生野勘助の三名だけだった。 ▲グレート巽(餓狼伝) ▲猪狩完至(グラップラー刃牙) そもそも私はプロレス世代ではないし…… アントニオ猪木のことを、ほとんど知らないも同然…… そのため猪木を題材にする意欲が嘘のように枯渇してしまったのだが…… 元気ですか

    格闘漫画における猪木――生野勘助 - 備忘録の集積
    GuriGura
    GuriGura 2012/02/20
    これは非常にためになる記事
  • 流れ星を追い越して、そのスピードを感じてる - 備忘録の集積

    スピッツの『どんどどん』を何度も聴いている。歌詞の意味は考えない。考えないようにしている。でも考えてしまっている。 覚えようとしない限り覚えられない。それが歌詞なる存在。歌詞表を見て歌詞を暗記する前と後で、曲に対する印象がまるで違う。と気づいてから、歌詞表はほとんど見ない。見えない。見ていない。たまに見ると空目ならぬ空耳で、誤って聞き取っていた箇所があることを思い知る。しかし歌詞は覚えない。覚えてしまったら忘れることができない。思い出せないことが忘れることではない。思い出せないだけで、知ってはいる。丁度、読めはするが書けはしない漢字、そんな感じ。 歌詞を覚えていない曲の歌詞は聴けば聴くほど断片だけが累積する。降り積もる雪が辺り一面を平らにしてしまうのとは違い、積もり積もる言葉の破片は奇妙な偏りを生み出す。聴けば聴くほど慣れ、飽きるはずが、聴けば聴くほどバイアスをかけていく。慣れ、擦り切れ、

    流れ星を追い越して、そのスピードを感じてる - 備忘録の集積
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    GuriGura 2011/11/24
    「虫だった頃にもどってー」/関係ないですが、スピッツを女の人が歌うのいいですね。
  • 抱腹絶倒のエッセイ - 備忘録の集積

    目白雑録 (朝日文庫 か 30-2)posted with amazlet at 11.11.06金井 美恵子 朝日新聞社 売り上げランキング: 185931 Amazon.co.jp で詳細を見る 金井美恵子の作品はどれも難解――というよりは読むという行為には読む対象に応じてそれなりの訓練を要するのであり(磨かれてもいない感性によって)好きなように読めばいいのだと無邪気にいっていられなくなるレベル――だが、この『目白雑録』と書いて「ひびのあれこれ」とルビをふっているエッセイは、金井美恵子らしい息の長い文章で書かれているにもかかわらずすこぶる読みやすい一冊だった。これほどリーダブルに書けるのであれば小説を書くときは普段よりも根を詰めて書いているのだろうかとふと思ったが、いけない、いけない、こんなことを書こうものなら「フン、ある種の緊張感を持たずに――それがどういった種のものかは今更いちいち

    抱腹絶倒のエッセイ - 備忘録の集積
  • 『人生論ノート』――幸福について - 備忘録の集積

    人は誰でも、幸せ探す、旅人のようなもの 疑いなく確かなことは、過去のすべての時代においてつねに幸福が倫理の中心問題であったということである。ギリシアの古典的な倫理学がそうであったし、ストアの厳粛主義の如きも幸福のために説欲を説いたのであり、キリスト教においても、アウグスティヌスやパスカルなどは、人間はどこまでも幸福を求めるという事実を根として彼らの宗教論や倫理学を出立したのである。 三木清『人生論ノート』 ふたつめの章は、「幸福について」 人生論ノート (新潮文庫)posted with amazlet at 11.06.05三木 清 新潮社 売り上げランキング: 16862 Amazon.co.jp で詳細を見る 読むための足がかり 『人生論ノート』を読んでいて興味深いのは、抽象と具体の意味の逆転現象にある。私が*1抽象的だと思っているものの一部分を、三木清は具体的だと説明するし、三木

    『人生論ノート』――幸福について - 備忘録の集積
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    GuriGura 2011/06/07
    三木清『人生論ノート』
  • 真の小説嫌いが書いた最上の小説 - 備忘録の集積

    キャッチコピー 著者:アンドレ・ブルトン 題名:ナジャ 1926年 『ナジャ』が世に出る 1963年 『ナジャ』著者による全面改訂版が出る この書物が多くの人の手に開かれるように、キャッチコピーを考え、エントリの題名とした。 真に小説を批判できるものは、小説の構造について熟知しているものに違いない。そして小説の持つあざとさや粗雑さ、身勝手な捏造といった多くの欠陥についても承知していることだろう。そのような人物がそれでも書かずにはいられなかった小説とは――? そして執筆して後、晩年になって多くの訂正を行ってまで完成させずにいられなかった理由とは――? 導入 私は作品について多くを語ることはできない。必要十分に理解するためには、ブルトンが記した『シュールレアリスム宣言』を読み、理解する必要があるし、もちろん、できればの話だが、その内容を実践してみるべきだろう。加えて、ブルトンが愛読したはず

    真の小説嫌いが書いた最上の小説 - 備忘録の集積
    GuriGura
    GuriGura 2011/05/16
    『ナジャ』未読なので、読んでみてからこの記事も読み返してみます。
  • チーズさえあれば、もう何も怖くない - 備忘録の集積

    日々の激務に自分を見失いそうな日々ですが(なんだこの悪文は。ヒビが入っているぞ)、先月はブログ更新一切無しだったこともあって、衝動的に更新しちゃいます。 はい、チーズ 突然ですがチーズの話です。 皆さんは6Pチーズを御存知でしょうか。ウィキペディア情報によると元祖は雪印だそうですが、現在では他社でも類似のシリーズが展開されています。 私は最近までこの手のチーズには見向きもしていませんでした。それというのも、幼少の頃(保育所で)、動物の形を模したチーズがおやつの時間に登場したものですが、あんまり美味しく感じられなかったことが原因かと思われます。あれは美味しくなかったどころか、いっそ舌にあわなかったと断言してよいでしょう*1。そのため、固形のチーズは不味い、と刷り込まれておりました。ピザに載っているようなとろけているチーズは美味しいのに、動物のチーズはなぜあんなに不味いのか…… あ、「動物のチ

    チーズさえあれば、もう何も怖くない - 備忘録の集積
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    GuriGura 2011/04/11
    KRAFT「カマンベール入り6P」は熱に強いんだぜ!相対的にな!(相対的な話を強気に話すライフハック)
  • 語りの海を漂いながら――灯台へ - 備忘録の集積

    著者 Virginia Woolf (ヴァージニア・ウルフ) [1882-1941] イギリスの作家。モダニズム文学の旗手。 『灯台へ』は、我が人生の書の一つ。まだまだ若造の私ですが、残りの人生にこれを超える作品に出会うことはないだろうと思っています。 感想を一言でいえば、名作がこんなに面白くていいのだろうか、といったところです。娯楽作品が愉快なのは当然ですが、名作は難解であり眉間に皺を寄せて読まねばならないとする権威主義的な信仰が、悪意とは無縁ながら慣習の呪術的性質に則って我々の中に息づいているものと決めつけさせていただくとして、この信仰を転覆させる圧倒的小説力が書には備わっております。なんといっていいものか……「名作を読めてアタシ、シアワセ」と鼻血を垂れ流しそうな興奮に見舞われるのです。*1 「意識の流れ」と呼ばれる手法により語られるウルフの世界の、なんと鮮やかなこと!*2 人が他人

    語りの海を漂いながら――灯台へ - 備忘録の集積
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