生物を見れば、同じ場所で同じものを食べているように見えても、種類が違えば何かしら違ったやり方で食べたり、時間をずらしたりして、互いの活動が完全にぶつからないようになっていることが多い。これは、一見同じニッチに見えても、それぞれ少し異なるニッチを占めていると見ることができる。 同じようなニッチを占める2種が、少し場所をずらせることで共存する場合がある。たとえば、渓流釣りの対象となる魚であるヤマメとイワナはいずれも上流域に生息するが、イワナの方がやや冷水を好む。それぞれが単独で生息する川ではどちらの魚も上流域を占有するが、両者が生息する川では混在することなく、最上流域をイワナが、そして上流域のある地点を境に、それより下流をヤマメが占有する。 このように、時間・空間的に活動範囲を分けることで2種が共存することを棲み分け(Habitat segregation[2])という。 生態学者の今西錦司は