2008年秋の危機の発生後、世界経済は近年で最も深刻な景気後退に見舞われ、2009年のGDP成長率は-0.6%と、過去60年間で初のマイナス成長となった2。しかし、各国による大規模な財政・金融政策を受けて、世界経済は2009年に底打ちをした。IMFによれば、2010年の世界GDP成長率は4.2%となる見込みである(第1-1-1-1表)3。なお、景気回復の速度は、国・地域によって大きく異なっている。2009年、世界経済危機によって急激な落ち込みをみせた先進国経済については、2010年には回復し、プラスに転じることが見込まれるものの、相対的に緩やかな成長となっている。一方、中国をはじめとしたアジア新興国については、2009年も6.6%とプラス成長を維持しており、2010年には8.7%と高い成長を実現することが見込まれている。 2 IMFサーベイオンライン(2009)『世界経済、過去60年で初の