ブックマーク / honz.jp (761)

  • アメリカ海軍トップが見る世界 『海の地政学』 - HONZ

    著者の経歴から紹介しよう。 ジェイムズ・スタヴリディスは、1976年にアメリカ海軍兵学校を卒業し、35年以上を海軍軍人として過ごした。航空母艦エンタープライズなど、有名艦を軒並み指揮した後に、2009年から13年まで、NATO(北大西洋条約機構)の欧州連合軍最高司令官をつとめる。退役後の2013年からは、国際関係の研究では全米でもトップクラスを誇る私立の名門、タフツ大学フレッチャースクール(国際関係学の専門大学院で、卒業生は国連など国際機関にも多いそう)の学長に。 国際安全保障に関する論評を『ニューヨーク・タイムズ』『ワシントン・ポスト』などに寄稿し、編著作物としては、書で7冊目になるとか。現役時代にはTEDにも出てオープンソース・セキュリティについてトークしており、最近でも日経済新聞に有識者としてインタビューが出るなど、求められて発言する機会も多い。 ちなみに、ヒラリー・クリントンが

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    HONZ 2017/09/17
  • 『大学病院の奈落』「新聞協会賞」受賞記者がスクープの裏側を詳細に描く - HONZ

    2015年9月、読売新聞東京社は同年度の新聞協会賞を受賞した。受賞理由は「群馬大学病院での腹腔鏡手術をめぐる一連の特報」である。その特報取材班のリーダーだったのが書の著者である高梨ゆき子記者だ。 その特報とは、10年から14年にかけて群馬大学病院第二外科で行われた腹腔鏡手術後に、8人もの患者が相次いで亡くなっていた事実をスクープしたものだった。 執刀したのは当時40代の外科医。この医師はほぼ同時期に行った開腹手術でも10人もの患者の命を救うことができなかった。死亡率は11.9%。なんと全国平均の3倍に及んだ。 事件なのか事故なのか。医師個人の力量不足や過失として片付ける出来事なのか。そもそも大学病院運営や日の外科手術そのものに問題はなかったのか。14年11月14日付のスクープ記事を発端として、日の医療に対する不安が広がった。 読売新聞による一連のスクープと、壮絶な報道合戦のはてに、

    『大学病院の奈落』「新聞協会賞」受賞記者がスクープの裏側を詳細に描く - HONZ
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    HONZ 2017/09/15
  • 社会分断による英国の『チャヴ 弱者を敵視する社会』は日本の近未来かもしれない - HONZ

    『チャヴ』、聞き慣れない言葉である。もとはロマ族の「子供」を指す言葉「チャヴィ」から来た、英国において用いられる「粗野な下流階級」を指す蔑称である。いくつかの英語辞典を調べてみると、「生意気で粗野な態度によって類型化される若年下流階級(オクスフォード英語辞典)」、「教養の欠如や下流階級であることを、その衣服や話し方、行動があらわすような人を示す蔑称。通常は若者を指す。(ケンブリッジ英語辞典)」、「たとえ高価であっても、その趣味が低俗であるとされる若い労働者階級(コービルド英語辞典)」などとある。 さんざんな物言いである。しかし、これらの定義を全部あわせても、チャヴという言葉を正しく理解するには足りないようだ。そこには「公営住宅に住んで暴力的」、「中流階級の謙虚さや上品さがなく、悪趣味で品のないことにばかり金を使う浪費家」、さらには、「暴力、怠惰、十代での妊娠、人種差別、アルコール依存」とい

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    HONZ 2017/09/14
  • 『性表現規制の文化史』えっちがいけないことなのは何故か - HONZ

    書、表紙が素敵なのだ。 裸の成人女性からうまい具合に乳首を隠したイラスト、線画の描写ゆえ生々しさはなく90年代に流行ったオシャレ系マンガの表紙のようである。 とは言えハダカはハダカ、サラリーマンばかりの通勤電車で読むのは平気だった私もさすがに目の前に小学生男子が立っている中では書の続きを読むのをためらった。 こんな風に感じるのは何も私だけではないだろう。そもそもたとえ乳首が隠されていたとしても裸の成人女性が描かれた表紙を人前で出すこと自体やりたくないという人も多いはずだ。(うん、屋さんでカバーかけて貰えるのってとっても大事かも)。 この「通勤電車ならいいや」と「でも小学生男子には刺激が…」の線引きをしている私の気持ちは一体どこから生じているのだろうか。 えっちなのは、いけません! 我々(少なくとも私は)はそう刷り込まれている。だから、公共の場でえっちなイラストの表紙のを出すのがため

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    HONZ 2017/09/13
  • 『予期せぬ瞬間 医療の不完全さは乗り越えられるか』 医者と医療にまつわる不完全と不可解と不確実 - HONZ

    医者はどうしてミスから逃れられないのか。医療には未知や不確実なことがどれほどあって、医者や患者はそれらにどう対処したらよいのか。書は、そんな問題をテーマとした、アトゥール・ガワンデのデビュー作である。 ガワンデは、現役の外科医であると同時に、雑誌『ニューヨーカー』にも寄稿する文筆家である。その最新作『死すべき定め――死にゆく人に何ができるか』が大ヒットしたことは、まだ記憶に新しいだろう。2014年に発売された同書は、当初から一般読者の圧倒的な支持を得て、アメリカではすでに90万部のセールスを記録しているという。 『死すべき定め』は、「死をどう迎え入れるか」というテーマに対して、円熟した文章で迫ったものである。他方、研修医時代に書かれた書は、先のテーマを若く瑞々しい筆致で掘り起こしている。そのようにふたつのには、その年齢でしか書けない魅力(そしてガワンデにしか書けない魅力)がそれぞれに

    『予期せぬ瞬間 医療の不完全さは乗り越えられるか』 医者と医療にまつわる不完全と不可解と不確実 - HONZ
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    HONZ 2017/09/12
  • 『大学病院の奈落』変われない病院の体質が、惨劇を生み出した - HONZ

    森友学園と加計学園をめぐる問題に揺れた今年の通常国会で、ある重要法案が可決・成立したことはあまり知られていない。特定機能病院の安全管理を強化する改正医療法である。大学病院のような高度医療を担う病院は、医療安全対策も高水準でなければならないという方針が、法律として明文化されたのだ。 改正のきっかけとなったのは、読売新聞のスクープ記事だった。 <腹腔鏡手術後8人死亡 高難度の肝切除 同一医師が執刀 群馬大病院> 2014年11月14日最終版一面の見出しは衝撃的だった。 北関東屈指の医療拠点として知られる群馬大学病院で、2011年から2014年に腹腔鏡を使った高難度の肝臓手術を受けた患者100人のうち、少なくとも8人が死亡していることが判明したというのだ。記事は、8人を執刀したのはいずれも第二外科の同じ医師で、これらの手術は事前に病院の倫理審査を受ける必要があったにもかかわらず、申請されていなか

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    HONZ 2017/09/06
  • とてつもなく変態で、ありえないほど文章がうまい──『動物になって生きてみた』 - HONZ

    どうやったら、我々人間は動物の感覚にもっと近づくことができるのだろう。たとえばアナクマのように巣穴で眠り、森を徘徊して獲物を物色する。たとえばカワウソのように水辺に住んで魚やザリガニをべて生き、ツバメのように空を飛び、糞を撒き散らす。そうやって動物たちと同じように生きたら、彼らがみている世界を追体験できるのではないだろうか? そんな、言っていることはわからないでもないが自分でやろうとは思わないことをまともにやってしまった狂人が、書の著者であり、2016年のイグノーベル賞の生物学賞を受賞したチャールズ・フォスターである。狂人とは言い過ぎで、著者に対する敬意を欠いているのではないか? と思うかもしれないが、この記事を読み進めてもらえればその事実が把握いただけると思う。 人間とキツネなど他の動物たちとの間には境界があると著者はいう。それは当然だ。我々はキツネと子どもを作ることはできないし、カ

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    HONZ 2017/09/05
  • 明治神宮と『変形菌』 - HONZ

    変形菌、それは粘菌のことだ。粘菌、それは南方熊楠が愛し、昭和天皇が新種をいくつも発見され、2度もイグ・ノーベル賞に貢献した生物だ。「梅雨時のじめっとした林、あるいは真夏の暑い公園で、粘り気があって色あざやかなアメーバ状のものが倒木や切り株に広がっている」、そのアメーバ状のものこそ、そいつだ。植物でも動物でもキノコでもない単細胞生物。なのに、色も形も、多様で興味が尽きないのだ。 さっそく、この写真から始めよう。 この写真に出会って驚いた。 ちなみに、胞子とは、無性生殖のために植物が持つ生殖細胞のことだ。人間の目には見えていないだけで、ここまで躍動するものなのだ。 写真は『生命の森 明治神宮』(伊藤弥寿彦著、佐藤岳彦写真)というで見たもの。 明治神宮が創建から100年経ち、大きな自然調査を行なった際の一枚だ。そもそも明治神宮は、明治天皇が崩御された際に追慕する人の請願運動によって政府が神宮建

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    HONZ 2017/09/03
  • 『芸術・無意識・脳』人の心は、どこまで解明されてきたのか - HONZ

    我々はなぜ芸術に心惹かれるのだろうか。人間の心が脳の活動から生まれているのは間違いないが、芸術作品を鑑賞する時、我々の脳の中では何が起きているのだろうか。 書の表紙にもなっているクリムト(1862-1918年)の『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I』の背景に溶け込んでいる人物の輪郭が分かるのはなぜか。ココシュ(1886-1980年)やシーレ(1890-1918年)の肖像画を観ると激しい情動的な反応が起きるのはなぜか。『モナ・リザ』の微笑みが神秘的に見えるのはなぜか。フェルメールの『音楽の稽古』で楽器を弾いている女性が誰に関心を持っているか分かるのは一体なぜなのか。 21世紀の科学における最大の課題のひとつが、人の心を生物学的に解明することである。そして、この難問を解く手掛かりが見えてきたのは、心の科学である認知心理学が、脳の科学である神経科学と融合した20世紀後半以降のことである。

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    HONZ 2017/09/01
  • 『科学捜査ケースファイル 難事件はいかにして解決されたか』凶悪犯罪と法科学の歴史200年 - HONZ

    科学捜査は、多くのミステリードラマや推理小説の題材として扱われてきた。代表的なのは、アメリカ発のテレビドラマ『CSI:科学捜査班』や『BONES─骨は語る─』シリーズだ。日でも『科捜研の女』が安定した人気を誇っている。推理小説は枚挙に暇がないが、アーサー・コナン・ドイルが1887年に発表した探偵シャーロック・ホームズ初登場作『緋色の研究』で、ホームズが行う綿密な現場検証や、「葉巻の灰による銘柄の同定」「血痕の試験」の話は、現在の科学捜査の原点といっても過言ではない。 このように馴染み深い捜査手法であるが、現実とフィクションが違うのもまた事実である。実際のところ、科学捜査官たちはあの非常線の向こう側で何をしているのか? そんな素朴な興味から、英国を代表する犯罪小説家である一方で、真実への欲求も強い著者は、一流の法科学者たちに話を聞く旅に出た。浮かび上がってきたのは、身の毛もよだつ凶悪犯罪に

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    HONZ 2017/09/01
  • 『健康格差 不平等な世界への挑戦』 Fair society, healthy lives. - HONZ

    スコットランドのグラスゴーの話。その市のなかの、たった数キロしか離れていないふたつの地区は、驚くべき対照を見せている。一方のレンジーは高級住宅街であるのに対して、他方のカルトンは指折りの貧困地区。ただし、両地区の違いはそれだけではない。1998年から2002年の数字で、レンジーの男性の平均寿命は82歳であったのに対して、カルトンのそれは54歳であった。その差はなんと28年である。 アメリカの話。ワシントンD.C.で地下鉄に乗って、中心街の南東部からメリーランド州のモンゴメリーへ向かうと、1マイル移動するごとに平均寿命が1年半ずつ延びるという。出発地点と到着地点では最終的に20年もの開きがあるという計算だ。 世界の話。子どもが日や北欧の国で生まれれば、だいたい80歳まで生きられるだろうと期待できる。しかし、サハラ以南のアフリカの国で生まれれば、60歳まで生きることすら難しいかもしれない。

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    HONZ 2017/08/31
  • 『動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか』 進化認知学、そして「唯一無二の人間」という見方からの脱却 - HONZ

    「動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか」。ずいぶん挑戦的な問いかけであるが、書の内容もそれに負けず劣らず挑戦的である。 フランス・ドゥ・ヴァールは、ベストセラー『チンパンジーの政治学』といった著書もある、世界的に著名な霊長類学者である。そんな彼が書で試みていることはおもにふたつある。ひとつは、彼の提唱する「進化認知学」というアプローチを明らかにすること。そしてもうひとつは、「唯一無二の人間」という見方(ないし偏見)を克服することだ。 第一の点について、象徴的なエピソードから始めよう。テナガザルは樹上性の小型類人猿で、ヒトや大型類人猿とも近縁な存在である。だがそんなテナガザルが、かつて行われた認知テストで意外なほど成績がわるかった。そのテストとは、棒を拾い上げてべ物を引き寄せるという一見単純なものである。では、そんなテストでさえうまくパスできないのだから、テナガザルは「愚か」だというこ

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    HONZ 2017/08/30
  • 『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』日常風景に投影された、世界の分断 - HONZ

    先日、新潮ドキュメント賞が発表され、ブレイディみかこさんの『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(みすず書房)の受賞が決定した。この作品を高く評価するのが、文藝春秋で数々の名ノンフィクション作品を送りだしてきた下山 進さん。作の魅力がどういうところにあるのか、特別に寄稿いただいた。(HONZ編集部) 新潮ドキュメント賞を受賞したブレイディみかこ 『子どもたちの階級闘争』を読んだ。素晴らしかった。 300ページで定価2592円って、どれだけ部数を絞ってるんだ? と最初腹立たしく思ったが、読んでみて、このクオリティだったらまったく惜しくない。 1996年にクールな英国に憧れて渡英した筆者は保育士だ。 託児所の日常が描かれるのだが、ここで凄いのは、その日常を子どもたちやその母親、そして保育士たちの世界のドラマで読ませつつ、英国の政治そのもの、のみならず世界のあちこちで起

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    HONZ 2017/08/27
  • 『アメリカを動かす「ホワイト・ワーキング・クラス」という人々』 - HONZ

    2016年の米大統領選挙を契機に、日でも米国の「白人労働者」の存在が注目されるようになった。彼らこそは、当初、異端の泡末候補だった不動産王ドナルド・トランプの大躍進を支えた原動力であり、同氏のコアな支持層と目されたからである。 「白人労働者」は米国では「プア・ホワイト(貧しい白人)」「ホワイト・トラッシュ(白人のゴミ)、「レッドネック(野外労働者)」「ヒルビリー(田舎者)」といった蔑称と共に語られることも少なくない。日からの駐在員や留学生、観光客にとっては接点の乏しい米国人と言って良いだろう。 そして、実は、それは米国のエリート層にとっても同じだ。格差社会が拡大するなか、大企業、先端企業、メディア、大学、シンクタンクなどで働く高学歴・高収入の米国人にとって、同僚や友人として彼らと交わる機会はほとんどない。それゆえ、中西部のラストベルト(錆び

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    HONZ 2017/08/26
  • あなたは他者からどう見られているのか──『なぜ心を読みすぎるのか: みきわめと対人関係の心理学』 - HONZ

    他人の心は、わからないものだ。 たとえ笑顔で話しかけてきても、こちらのことを殺したいほど憎んでいる可能性はいつだって存在する。自分以外のすべての人間に憎悪されている可能性について想像し始めるとめげてしまうが、実際のところそんなことはありえないわけで、だいたいの場合においてニコニコ顔は敵意のなさ、好意の証であるとみていいだろうと、普通はそう判断して会話をすることになる。 そうやって簡単に解釈できるシグナルがあればいいが、人生には対人関係の悩みがつきものである。あの人は自分のことが嫌いなのではないか? あの人は何を考えているのか? など、解釈が難しいケースは多々存在する。基的に人間は他者との関わりの中で生きていくしかないのだから「人間は対人関係を構築する時にどのように相手を見極め、評価しているのか」についての知識はあって悪いことはない。書『なぜ心を読みすぎるのか: みきわめと対人関係の心理

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    HONZ 2017/08/25
  • 『食事のせいで、死なないために もっとも危ない15の死因からあなたを守る、最強の栄養学』 - HONZ

    比較的簡単な手術のために、1週間でも入院すれば、現代医療の技術の高さに感謝せずにはいられない。だが生死に関わる病気にかかり、長い闘病生活を送るとなると、つらい治療に耐えねばならない患者人はもちろん、家族もさまざまな苦しみや不安を経験するはずだ。 そのいっぽうで、医療従事者の負担も大きい。毎日どれだけ多くの診療や手術をこなし、投薬を行なっても、患者は増え続ける。世界的に見ても、医療費が今後ますます増大することは明白だ。だからこそ、少数の良心的な医師や研究者たちは、病気の治療よりも予防が重要であると考え、医師たちはもっと栄養について学び、患者の生活の改善を指導すべきだと訴えてきた(が、その声がつねにかき消されてきた理由は、書に書いてあるとおりだ)。なぜなら、現代人のおもな死因は生活習慣病だからだ。そして、その最大の原因は私たちの生活にある。 生活習慣病が世界に蔓延したのは、第二次世界大

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    HONZ 2017/08/25
  • 『時代劇の「嘘」と「演出」』クリエイターと 歴史家、「時代」をめぐるせめぎ合い - HONZ

    「なんておもしろいの!」 このを読んでいると、ページをめくるたびにこの一言が口をついて出る。 戦国時代を専門とする著名な学者・小和田哲男氏が時代考証にあたった大河ドラマ『江〜姫たちの戦国』で、こんなことがあったそうだ。浅井長政の小谷城が織田信長に攻め落とされる場面。 最近の研究では、小谷城は実際には燃えていなかったことが判明している。小和田は炎上シーンは描かないように要請した。しかし番組スタッフは、城が燃えていないと、落城が一目でわからないから、少しだけ火をつけさせてほしいという。小和田はしかたなく「少しだけですよ」と念を押したが、放送を見ると、城は見事に…… 小和田教授は「小谷城が焼けてないこともしらないのか」という不名誉を被ったというから辛い立場である。 秀吉の「一夜城」といえばドラマには欠かせない名場面である。ところがなんと。この「一夜城」の存在は、現在の研究では全面的に否定されて

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    HONZ 2017/08/24
  • 『子育ての大誤解 重要なのは親じゃない 』「言ってはいけない」真実が示す、親と子の幸福なあり方 - HONZ

    『子育ての大誤解 重要なのは親じゃない 』「言ってはいけない」真実が示す、親と子の幸福なあり方文庫解説 by 橘 玲 『子育ての大誤解』は掛け値なしに、これまででわたしがもっとも大きな影響を受けたのひとつだ。なぜなら長年の疑問を、快刀乱麻を断つように解き明かしてくれたのだから。 いまでいう「デキ婚」で24歳のときに長男が生まれたのだが、その子が中学に入るくらいからずっと不思議に思っていたことがあった。親のいうことをきかないのだ、ぜんぜん。13、4歳のガキと30代後半の大人では、経験も知識の量も圧倒的にちがう。どちらが正しいかは一目瞭然なのに、それを理解できないなんてバカなんじゃないのか、と思った。 しかしよく考えてみると、自分も親のいうことをまったくきかなかった。だとすればこれは因果応報なのだとあきらめたのだが、それでも謎

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    HONZ 2017/08/23
  • 『コックリさんの父 中岡俊哉のオカルト人生』清く、正しく、疑わしく - HONZ

    何かの分野を一筋に研究した人物の評伝には名作が多い。中でもとりわけ面白いのが、厳格でアカデミックな世界をいかに破天荒に生きたかというタイプのものだ。生きている世界と生き方とのコントラストが、読者を惹きつけ魅了するわけである。そういった意味で、書もコントラストの妙が効いているタイプの一冊ではあるのだが、世界と生き方の関係がそれらのものとは反転している。 超常現象研究家の中岡 俊哉(1926~2001)。毎年この時期になるとテレビで怪談のコーナーや心霊特集の番組を見かけることも多いが、その礎を作った人物といっても過言ではないだろう。スプーン曲げ、心霊写真、コックリさん、透視予知など、あらゆるオカルト・ブームの中心にはいつも彼がいた。だがいわゆるブームを派手に仕掛けた業界人然としたイメージからはほど遠い。書は怪しく、不確かな世界を、実に真摯に生き抜いた男の一代記である。 裏を返せば、真摯に生

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    HONZ 2017/08/21
  • 『大阪ソースダイバー』にソース文化の真髄を学べ! - HONZ

    あまり知られていないかもしれないが、大阪人はソース好きだ。東京では中濃ソースが一般的らしいが、大阪の家庭ではとんかつソースとウスターソースが常備されているのが普通である。 天ぷらにだってウスターソースをかける。少し古い、たぶん10年ほど前のデータだが、野菜と魚の天ぷらソースでべる人は、関東では1%以下であるのに対して、近畿では45%もいる。アジとかイカとかタマネギの天ぷらは、ソースでべるのがいっちゃんうまいのだ。だまされたと思って、いっぺんやってみなはれ。。 昭和35年生まれ、わたしとほぼ同世代の『下町のエリート』堀埜のおじきが、『まんぷくライター』曽っちゃんの取材力を巻き添えにして、大阪におけるソースの輝かしき地位と歴史をあますことなく書いたのがこのだ。 ソースが最も輝いていたのは「昭和のあの頃の下町」である。 下町的には、ソースは最初から「ハイカラでおいしいもの」として普及する運

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    HONZ 2017/08/14