この四月、米国の研究機関・オープンネット・イニシアチブが公表した報告書「中国のインターネット規制」が、世界を驚かせた。 「チベット」「天安門虐殺」「台湾独立」…。中国国内で特定のキーワードを含むインターネットサイトへの接続を試みると、機械的、自動的に遮断される。利用者は検閲自体に気づかない。チャット(文字による会話)や掲示板の議論が「良くない方向」に進むと、「監視官」が削除−。 ネットの隅々まで監視と検閲が行われている中国の現状を、報告書は「巧妙で洗練された仕組み」と記した。 こうした規制は「資本主義の害毒(ポルノ、暴力情報など)の流入を阻止する」名目で始まり、いつしか、反政府的言動も対象になったという。 そう、この種の規制は、いつも「わいせつ」から始まる。 名簿まで押収 東京・日本橋。 真新しいオフィスビルの一室で、尾崎憲一氏(38)は「事情聴取に応じるため、桜田門(警視庁