動物から取り出した細胞を培養することで人工的に肉をつくりだす細胞農業。近年、大きな注目を集めているが、それは本当に食糧難に対しての有効な解決策なのだろうか? あるアーティストが実に奇抜な方法で、人類が抱える「食の問題」を提起し、議論を巻き起こしている。 材料は「ヒト細胞」と「輸血用血液」 あるアーティストが、奇抜な方法で人工肉産業を批判し、議論を引き起こしている。 ヒト細胞から作られたステーキをロンドンのデザイン・ミュージアムに展示する企画は、動物の生きた細胞の使用が増加する食肉産業への批判を意図していた。結局、この企画は生命倫理に関する物議を醸し、芸術的な手法を用いたアプローチの思わぬ落とし穴となった。 ペンシルベニア大学のスチュアート・ワイツマン・デザイン大学院で美術の准教授を務めるオルカン・テルハンは2019年、気候変動がいかに将来の食糧消費に影響しうるかを推測していた。3Dプリンタ