雨宮:それを出したのは、もう10年くらい前ですかね。 斉藤:わたしは20年近く依存症の臨床に携わってきたのですが、その背景には、労働問題や貧困問題っていうのがあるんですよね。なので、参考にするために拝見しました。 ■男か女かで価値付けされ、育っていく 雨宮:斉藤先生は多くのメディアで「日本社会の根底にはいまだに男尊女卑的な価値観が根付いている」と仰っています。どのようなシーンでそう思うことがあるのでしょうか? 斉藤:これは以前職場のスタッフの結婚式に参加したときの話なんですけど、けっこう古い風習も残っている地方で式が行われて、会場の雰囲気的に「元気な赤ちゃんを早く産め」と言うような見えない圧力を感じました。 斉藤:そういうときの「元気な赤ちゃん」って、男の子がイメージされることが多いと思うんです。 日本って生まれたときに男か女かで大きく価値が分かれるっていう価値観がまだ残ってますよね。僕も