今年の初めから流行し始めた新型の感染症のせいで、今年は花火大会のほとんどが中止になるかもしれません。 未知のウイルスが世界中に蔓延して自由に外出できなくなって、人々がマスクを奪い合う日常というのはまるで現実離れしていて、私は春からずっと誰かが作った映画や本の中に迷い込んでしまったような気分がしています。 今日は少しひんやりしているなと思いながら、傘を持っていない方の手のひらで反対側の二の腕をあたためました。家の中に居て雨の音を聞いていると保護されているような気持ちになるのに、外に出るととたんに心細くなるのはどうしてなのでしょうか。 傘を指してどこかへ急いでいく人々が目の前を横切っていきます。私は待ち合わせ場所が間違っていないか不安になりました。そういえば、本屋さんで待ち合わせをしようと決めただけで、具体的な場所を指定していなかったことに気づきました。待ち合わせといえば当然入り口だろうと思い