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ブックマーク / www.h2.dion.ne.jp/~hkm_yawa (3)

  • 市川春子「日下兄妹」 九月のカクテル光線

    「日下兄妹」 講談社 アフタヌーンKC「虫と歌 市川春子作品集」より 市川春子 傑作「虫と歌」の発表(2006年10月)から三年が経っていた。彼女の作品が月刊誌アフタヌーンに掲載される度に、普段買わない雑誌を購入した。その分厚さにやや辟易しつつも保管し続けていたのだが、引越しと未整理等により紛失してしまう。単行化は私にとって「待望」と言うに余りあるほどの感激だった。 4編の作品と単行書き下ろしの掌編1つを含む作品集は、どれも再読に絶え得る美しさに満ちていた。一言で言えば、絵が好きだ、ということに尽きてしまうわけだが、マンガの要素として言葉とかなんとかかんとかとだいたい三つ抽き出す評論家が多いけれども、市川作品は、絵があればそれで事足りるほど簡潔な様式を潜めている。 どの作品を取り上げても面白いけれども、ここでは雑誌掲載作品の中で唯一未読だった「日下兄妹」についての感想を綴りたい。

  • こうの史代「この世界の片隅に」 カケラ

    「この世界の片隅に」 双葉社 ACTION COMICS 上・中・下巻 こうの史代 映画「紙屋悦子の青春」は戦時下の鹿児島を舞台にした悦子の青春の一ページを淡々と綴った作品である。元々舞台として編まれた原作ゆえに、映画も屋内のセットを中心にキャラクターの対話が当時の世相を暗示させつつ、悦子が置かれている状況を説明していく。派手な演出も印象強い音響もあるわけではない。普通の日常を普通に描くことに徹したかのような映像。知らない人とこれからお見合いをする悦子(原田知世)と相手の青年(永瀬正敏)の様子がユーモアたっぷりに描かれる。けれども、戦争の影が消えることはない。「配給」や「沖縄」といった言葉がセリフの端々に加えられていく度に、観客は、今から見れば決してきらびやかなものではないかもしれない悦子の青春に、これが当時の一つの恋愛の形だったのだろうかと考えさせられる。 こうの史代「この世界

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    I000i000I 2009/05/24
    「継ぎはぎ」
  • 末次由紀「ちはやふる」1巻 彼女だけが聞いた

    「ちはやふる」1巻 講談社コミックスビーラブ 末次由紀 復帰作「ハルコイ」の感動が忘れられない末次由紀の連載作品が競技かるたの世界を描いた「ちはやふる」である。あらすじは検索でもして調べてもらうとして、早速編の話題に入りたい。 この作品の主人公・小学六年の千早は、音を素早く聞き分ける能力を持っているという設定である。その凄さは、詠み上げられる上の句の最初の一音を聞くや否や札に飛び込むという描写によっているが、この演出で彼女の特異性をあぶりだしている表現が音である。源平戦という三対三の対決で、千早に競技かるたの魅力を伝える同級生の新(あらた)は、札には「一字決まり」「二字決まり」など最初の一音あるいは二音を聞くだけで下の句が何かを判別できる札があり、千早にはそれを狙え、と説明する。 彼女の聞き分ける力がはっきりと描写されたこの戦い。「ふくからに」に彼女が反応した場面は戦慄もの

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