家庭内の暴力は戦争も元になっているのでは――。カウンセラーとして家庭内暴力(ドメスティックバイオレンス、DV)やアルコール依存症などの問題に長年、取り組んできた公認心理師・臨床心理士の信田さよ子さんは、その可能性があると考えている。79年前に終わった戦争の影響は、なぜこれほど長く続くのか。【聞き手・熊谷豪】 <関連記事> ・戦争トラウマ、初の実態調査 国が旧陸海軍病院の資料など照会へ ・「おやじもそうだったのか?」 戦争トラウマを世に問うた家族の語り ・慰安旅行で母に酒浴びせた父 70年間思い至らなかった「心の傷」 ――依存症やDVの相談現場ではどんな声がありましたか。 ◆1970~80年代、アルコール依存症の家族会では、耳が悪い女性に数多く出会った。聞けば、右の耳が聞こえない人には、左利きの夫がいる。酔った夫にバシバシと殴られた。かすかに鼻が曲がっている人もいた。 90年代に入ると、40