通常国会がきょう閉会する。新型コロナウイルスの感染が収まらない中、国民の命と暮らしを守るために、国会=写真=は自らの役割を果たしたのか。あえて問いたい。「国民が見えているのか」と。 国権の最高機関であり、唯一の立法機関である国会は、国政の調査や行政監視の権能を国民から委ねられている。その役割を果たせたのか、すべての議員が、まず自問自答すべきである。
菅義偉首相=写真=にとって初の党首討論が行われた。安倍政権当時の二〇一九年六月以来二年ぶりの開催。新型コロナウイルス感染症対策や東京五輪・パラリンピック開催の是非が論点だったが、首相は野党側の質問に正面から答えようとせず、国民の疑問と誠実に向き合ったとは言い難い。 立憲民主党の枝野幸男代表は、政府のコロナ対策について「第五波を防ぐためにも三月の(緊急事態宣言)解除が早すぎたという反省に立って、厳しい基準を明確にすべきだ」と問いただした。
愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)運動を巡る署名偽造事件で、地方自治法違反(署名偽造)の疑いで逮捕されたリコール活動団体事務局長の田中孝博容疑者(59)が、「スパイが不正署名を紛れ込ませた」などの「陰謀論」を利用し、周囲に不正への協力を求めていたことが関係者への取材で分かった。米国で拡大した陰謀論「Qアノン」の信奉者など、極端な流言を信じた人々が行動を過激化させる例は世界的に報告されている。事件の背景にも陰謀論の影が見え隠れする。 「リコールを妨害するスパイが不正な署名を紛れ込ませた」「外国の勢力と大村知事が結託し邪魔をした」。アルバイトを動員した大量の署名偽造疑惑が発覚した二月以降...
安全保障関連施設周辺の土地利用を規制する法案が参院で審議入りした。衆院審議では立法の根拠が明確に示されなかった。私権侵害や国民監視の懸念を残したまま成立を急いではならない。 法案は、自衛隊や米軍の基地、原発の周囲や国境にある離島などを「注視区域」「特別注視区域」に指定して土地利用の実態を調べたり、売買の届け出を求めたりする内容だ。施設の「機能を阻害する行為」や恐れがあれば中止を勧告・命令し、従わなければ懲役を含む刑罰を科せるようにする。
もくもくと湧き上がる噴煙があっという間に住宅地に押し寄せる映像はいまも記憶に生々しい。四十三人が犠牲になった雲仙・普賢岳(長崎県)の火砕流災害から今日で三十年になる。 「普賢様」とあがめられてきた活火山は一九九〇年十一月、百九十八年ぶりに噴火した。地元の自治体に噴火に備えた防災計画はなく、当初は「観光客が増える」と期待する声すらあったという。
非正規労働者にテレワークが認められない事例が後を絶たない。新型コロナウイルスの影響が長期化する中、政府は出勤七割減を目指すが、内閣府の調査では非正規のテレワーク経験は正規の半分以下。所得の少ない人ほどテレワークする割合が低いというデータもある。正規・非正規の雇用形態の違いによる所得格差が、「命の格差」につながりかねない構造をはらんでいる。 「正社員は一部在宅勤務をしているけれど、派遣先は非正規にテレワークを認めないようで、緊急事態宣言中も出社している」。労働組合の総合サポートユニオン(東京)に今月寄せられた女性派遣社員の相談からは、再延長となる宣言中でもテレワーク格差が根深く残る様子がうかが...
成立した改正少年法は十八歳と十九歳を「特定少年」とする。二十歳以上と同じ刑事手続きとする対象事件は拡大され、事実上の厳罰化となる。「立ち直り」を期待する原則は守り続けてほしい。
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