新刊『「読まなくてもいい本」の読書案内』の第一稿から、紙幅の都合で未使用の原稿を順次公開していきます。これは第3章「ゲーム理論」で使う予定だった「複雑系経済学」の紹介です。 ************************************************************************ 経済学が抱える最大の問題が「合理的経済人」の前提にあることは間違いない。行動経済学がこの前提が成立しないことを証明した以上、経済学も、ゲーム理論も、理論の正当性に深刻な疑問を突きつけられている。 この矛盾は、じつは経済学の内部でも気づかれていた。 大学で勉強する経済学は、ミクロとマクロに分かれている。ミクロ経済学は家計(消費者)の需要と企業(生産者)の供給から市場の構造を一般化しようする「帰納型」で、マクロ経済学は国民所得や失業率、インフレ率などのデータから一国経済を分析しよ
2015年8月14日、戦後70年談話が安倍内閣のもとに閣議決定された。そこで、官邸サイトに掲載された英語版を、山形浩生氏に日本語訳していただいた。(Statement by Prime Minister Shinzo Abe Friday, August 14, 2015より翻訳) 安倍晋三総理大臣による声明 2015年8月14日 閣議決定 終戦70周年にあたり、私たちは冷静に戦争への道、その終結以来私たちが採ってきた道と20世紀という時代をふり返らなくてはいけません。歴史の教訓から未来への叡智を学ばねばならないのです。 百年以上前、主に西洋列強が保有していた広大な植民地が世界中に広がっていました。その圧倒的な技術優位により、19世紀には植民地支配の波がアジアへと押し寄せてきました。そこから生じた危機感が日本を近代化実現に向けて推し進めたのはまちがいありません。日本はアジアのどの国よりも先
筆者:齊藤貴義 福島県相馬市在住。Webエンジニア・インフラエンジニア・データアナリスト・作家。ニックネームはサイバーメガネ。お仕事のご依頼は saito@geek.sc までお気軽にどうぞ。 職歴:メディカルネット→ティーカップ→丸紅情報システムズ→インフォバーン→feedpath→オールアバウト→手嶋屋→ライブドア(livedoor Reader)→enish→フルスピード→起業, etc. 相馬高校理数科出身。高校生クイズ全国大会出場。大学は雄弁会(全関ディベートリーグ準優勝)。openSUSE Linuxユーザー会。バツイチ。 ■単著 インプレスR&D『スクレイピング・ハッキング・ラボ』 ■共著 『Wizard Bible事件から考えるサイバーセキュリティ』 運営サイト はてな村定点観測所 相馬灯 ミライハック サークルメンバーのサイト Security Akademeia ハイヤ
2013年11月17日11:39 カテゴリ本 植民地支配はもうかったのか 「日帝36年」をうらむ韓国人は、日本が「植民地支配」で富を搾取したために韓国が遅れたと信じている(かなりの知識人でもそういう話をする)。しかしエッカートが実証したように日本の韓国併合の収支は大幅な赤字であり、これを植民地と呼ぶのは正しくない。 それでは日本が追いつこうとしていた「列強」の植民地支配の収支決算はどうだったのだろうか。これについては統計の入手可能性が限定されているが、本書はヨーロッパ諸国から植民地への輸出品の国内生産に占める比率を示している。それによれば、図1のように各国は18世紀までは植民地から利益を得ることができ、特にイギリスは大きかった。 図1 ヨーロッパ各国の植民地むけ輸出の国内比率(%) しかし帝国主義戦争の始まった19世紀以降、スペインは南米の植民地を失って経済が停滞し、フランスはアフリカに多
POPULAR SCIENCE:今日掲載されている科学的記事の98パーセント以上は、英語で公表されています。ところが、かつては必ずしもそうだとは限りませんでした。Michael Gordin(科学用語の選択に関する本を執筆したプリンストン大学の科学歴史家)いわく、「かつてヨーロッパにひとつの科学用語があり、それはラテン語であった」。 しかし、研究者は17世紀にラテン語から立ち去り始めました。仕事をよりスムーズにするために、そして宗教改革やカトリック教会への反応として、ガリレオやニュートンは彼らの母国語で筆記を始めました。いったんラテン語が科学における共通語としての席を奪われると、科学論文における言語はそれぞれの現地語へと分裂していきます。 研究者は、共通語の損失が科学的進歩を遅くするだろうと心配しました。したがって、19世紀の中頃には3つの主要な言語が固定されました。Gordinはこう言い
内 容 シベリアから「満洲」へ —— 。東清ないし東支鉄道ともよばれ、「満洲」を通るロシアの「植民地化会社」として、露・中・日・仏・米が角逐する国際政治の焦点となった中東鉄道。海運とも連動する鉄道事業経営と、収用地や警備隊による植民地経営が一体となった、その全体像を初めて実証的に解明。西洋史・東洋史・日本史を横断する跨境的な東北アジア近現代史を描きだす。 目 次 凡 例 序 章 1 本書の意義 —— なぜ中東鉄道をとりあげるのか 2 先行研究 —— 帝国主義論と植民地近代化論の狭間で 3 本書の視角と構成 4 史料、用語、ロシアの政策決定機構について 第1章 中東鉄道をめぐる国際環境 はじめに 1 中東鉄道とロシア帝国 —— 1895-1916年 2 ロシア革命後の混乱 —— 1917-1924年 3 ソ連と中国、満洲国の合弁経営 —— 1924-1935年 小 括 第2章 中東鉄道の組織
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く