アジアやアフリカ、中南米の辺境地帯での探検的活動のために25カ国語以上という驚異的な数の言語を学んだ著者は、やがて語学(言語)そのものを探検の対象にするようになる。本書は、著者のすこぶる面白い、いわば「サバイバル言語学習記」あるいは「語学探検記」であり、外国語と聞くだけで苦手意識に苛まれてしまうという人こそぜひ読んでほしい。学部時代に山登りと海外旅行に明け暮れ、タンザニアで足かけ20年以上調査をして文化人類学者になった評者にも身に覚えがある、「生きた」言語を獲得する秘訣が満載なのだ。 インドで知りあった自称マレーシア人に身ぐるみ剝がされるという窮地で「切実に話したいことがあれば、話せるようになる」という語学の真実に目覚め、謎の珍獣を探しに出かけたコンゴで、コミュニケーションをとる言語(公用語)と仲良くなるための言語(リンガラ語などの現地語)の二刀流を使いこなす快感を知り、言語ビッグバンが到