9月中旬、千葉・幕張の東京ゲームショウ。ゲーム雑誌などを発行するファミ通グループ代表の浜村弘一(53)は、妖怪ウォッチを生んだレベルファイブ社長の日野晃博(46)を見つけると声をかけた。 「今年もルーキー(新人)で頑張っていますね」。ショウでは、日本ゲーム大賞に輝いた妖怪ウォッチの授賞式があった。 ルーキーと呼ばれ、日野は相好(そうごう)を崩した。浜村と日野は、もう10年以上の付き合いだ。開発途中のゲームが打ち切りになるなど、苦しい下積み時代も知っている。7年前にレベルファイブが自らゲームを売り出し、いきなりヒットしたときは、日野からこう言われた。 「これからも『ファミ通』のルーキーランキング(新作ゲームの番付)で、1番をとれるレベルファイブでありたい」 ヒット作の続編だけで稼ぐほうが、ゲーム会社としては無難で楽なのに、日野はそうしなかった。外せば大損するリスクを背負いながら、新作で勝負す