かけがえのない存在だった妻・・・。出会い、結婚生活、そして妻が病に倒れ逝ってしまうまでを切々と描いた、城山三郎の「遺稿」をまとめた作品。 「二人三脚」。この言葉がふさわしい夫婦の歩みだった。出会いから結婚までの不思議な縁。ほほえましい結婚生活。そして悲しい別れ。どの文章にも、作者の妻へのあふれんばかりの愛情が感じられる。この作品には書かれることのなかった、つらいことや苦しいこともたくさんあっただろう。それらを、夫婦ふたり手をたずさえて乗り越えてきたに違いない。出会いがあれば別れがある。それは当たり前のことだけれど、作者と妻との別れには涙した。どれほどつらかったことか・・・。夫婦や家族の絆の大切さをあらためて感じさせてくれる、感動的な作品だった。