北アルプス黒門岳で一人の女性が遭難死した。彼女は右手にナイフを握り締め、黄色いダウンジャケットを雪面に刺し貫いた状態で死んでいた。山岳捜査官の釜谷は、彼女の死の直前の行動に疑問を持つ。そこには、もうひとつの真実が隠されていた・・・。表題作を含む4編を収録。 4編のうち一番印象に残ったのは表題作の「生還」だった。遭難死した女性が遺した手がかり。それは何を語ろうとしているのか?真実にたどりつく過程は読んでいて緊迫感があり、とても面白く感じた。 「捜索」もよかった。ささいな事実、ほんの少しの手がかり。そういうものの積み重ねが、ひとりの男の命を救うことにつながっていく。限られた時間の中でいかに行動するか?息詰まるような展開が面白かった。 山岳ミステリーの面白さを味わうだけでなく、山の持つ魅力や厳しさも知ることができる、興味深い作品だった。
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